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ハナアルキ
2009.02.08|umiushi
生き物の進化というのは、ときに予想もつかない方向に進みます。
すごく身近な例でいえば、「胃下垂」って病気がありますよね。
これ実は、人類特有の病気らしいです。
基本的に哺乳類、というか陸上の脊椎動物の体というのは、(犬とか猫を思い浮かべると分かりやすいのですが)四本足で立ったときに肋骨で内臓を支えるように出来てるわけです。
ところがわしら人類は二本足で立つようになってしまった。
おかげで手を自由に使えたりとか、重い頭を支えられるようになったわけですが、そのかわり胃を肋骨で支えることができず、下に垂れ下がりやすくなってしまったと、こういうことらしいです。
クジラのたぐいだって、冷静に考えればたいがいな体してますよ。手足ヒレなんだもん。て言うか後ろ足ないんだもん。
しかし、この程度の進化はまだ甘い、ということでご紹介するのがこちら、
ハナアルキ(鼻行類)
南半球のハイアイアイ群島に生息していた哺乳類です。残念ながら、某国の核実験が地殻変動を引き起こしてしまい、ハイアイアイ群島はすべて沈没、ハナアルキも絶滅してしまいました・・・
ゾウさんたちは器用に鼻を使いますが、さらにすすんで鼻で歩いてしまうというのが豪快。しかしやっぱり脚で移動する連中にはかなわなかったらしく、ハイアイアイ群島でのみ生き残ったようです。ちょうど、有袋類がオーストラリアなど限られた地域にしかいないように。
他にも、えらくマッシブな歩き方をする
マンモスハナアルキ
とか、もっぱら他のハナアルキを食べる
オニハナアルキ
などなど。
白眉はこちら、耳で羽ばたいて飛ぶ
ダンボハナアルキ
なんてのもいたとか。中には腸で微生物が生産したガスを噴射して飛ぶ「ジェットトビハナアルキ」もいたらしいです。
しかしオナラで空を飛ぶとは、筋肉少女帯かオマエは。
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・・・すいません、全部ウソです。
いや、確かに鼻行類に関する書籍はあるのですが、その書籍じたいが真っ赤なウソ。
というのも、数十年前に本職の生物学者がギャグ(もちろん筆名)で出版したものなんです。ハナアルキどころか、ハイアイアイ群島すら架空の地名でございます。
しかし、無神論者で知られる、クトゥルー神話の作者ラヴクラフトも
「怪奇愛好者が未知の存在を記述するとき、十中八九、無神論者ほどリアルな描写をすることはできない。全然信じていないからこそ、怪奇なものに心惹かれ、精緻に描写できるのだ」
と言ってますから、生き物を知り抜いてるからこそカマせるギャグなんでしょうね。
何と言うか、お茶目なおじいちゃんが孫に仕掛けたイタズラみたいで微笑ましいです。
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ときわたけしの妄想電子@私書標本箱 さん
(リアルな写真が満載です)