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最近話題のダンスの資格について
2012.05.26|saito
こんにちわ!
齋藤です。
今日は、最近話題の「ダンス」必須化に伴い出てきた「ダンス」の「資格」について。
自分は、大学の頃に「ヒューマンビートボックス」をやっていた関係で、
いわゆる「ストリートダンス」に触れ合う機会も多く、その際に一緒にやっていた相方の「TATSUYA」が
「一般社団法人日本ヒューマンビートボックス協会」起ち上げた事もあり、
※一般社団法人日本ヒューマンビートボックス協会公式HPより
今でもかなりのダンサーさんに会う機会があります。
前々から思う事ですが、日本は、あまりアーティストと呼ばれる方々には、優しくない国だなぁと思うわけです。
海外(全てではありませんが)では、アーティストさんが発表をする場が無償で、提供されていたり、
実力のある方には、ちゃんとした報酬(ここではお金の意味)があり、食べていく事ができますが、
日本では、一部のマナーを守らない人たちだけをとりあげて、「ストリートカルチャー」を排除したがる傾向があります。
数年前までは、代々木公園でストリートライブが頻繁に行われ、そこで、出会った人たちとセッションをしたり、
そこで、見たり聞いたりしたことにより、音楽を始める人も多かった印象を覚えています。
たしかに、マナーの悪い方はいますが、それだけを見て、禁止してしまうと、日本のアーティストさん達が、
海外に出てしまったりして、どんどん日本のストリートカルチャーが衰退してしまうような気がしてなりません。
と、ここまでは、個人的な意見を書いてみました。
さて、そんな中、学校で「ダンス」必須化というニュースは、これからストリートカルチャーがどんどんメジャー化して、
盛り上がっていくという意味では、かなりあがる内容だったのですが、その後に来たこのニュースが度胆を抜かれた感があり、
「やっぱり日本の政府はダメダメなのか?」と思わせるような事でした。
ヒップホップに指導資格 中学のダンス必修化で
今月から中学校の体育の授業でダンスが必修化されたのを受け、一般社団法人「ワールドリズムダンス技能協会」(東京)は18日、
ヒップホップダンスの指導者を認定する資格を創設すると発表した。
名称は「ヒップホップダンス基本技能指導士」。技能や知識を問う有料の検定試験を5、8、12月に実施。
来年以降も年2回のペースで行う。中学教諭のほか、ダンス教室のインストラクター、ダンスをリハビリに取り入れた介護現場の職員らを受験対象者として想定している。
ダンスは中学1、2年で武道とともに必修になり、ヒップホップなど「現代的なリズムのダンス」、創作ダンス、フォークダンスから選ぶことになった。文部科学省が昨年12月から今年1月にかけて実施した公立学校の抽出調査では、現代的なリズムのダンスを選んだ学校が最も多かった。
いやいや、資格ってなんやねん。
と思ってしまったわけです。
ちなみにこちらが「一般社団法人 ワールドリズムダンス技能協会」さん。
※一般社団法人 ワールドリズムダンス技能協会公式HPより
TOPの画像がダンス関係ないと思うのですが。。。
会見では、文科省を使ったり、「ワールドリズムダンス技能協会」の理事陣がなんとも・・・
と思っていたところ、ダンサーの「B-Boy Takeo」さんが見事に解説していらっしゃったので、
ここで、ご紹介したいと思います。
B-Boy Takeo
ダンススタジオ、「スタジオフェイス」代表
日本人初の世界大会優勝チーム「Spartanic Rockers」リーダー
UK B-Boy Championships 日本予選大会オーガナイズ
ストリートダンス教育研究所理事
ストリートダンス研究家
ダンスの資格について解説します PART2
先日以来話題になっているダンスの資格について、
その後いろいろ調べて行くに従って、更にいろんな事が分かってきたので、整理して書きたいと思います。長くなるので、時間が無い人は最後の方の
★まとめ
だけ読んでください。
まず、今回、我々の中で騒動となった発端は、ニュースなどで一斉に「ダンスの資格ができました」という報道があったという事だと思います。
記者会見の場所は文部科学省。
当然、文部科学省で発行する資格だと思うのが普通の考え方です。前回も書きましたがこれは間違いです。
ここで自分が改めて確認した内容を簡単にまとめて書きたいと思います
1.文部科学省での記者会見
文部科学省によれば、例の記者会見には一切ノータッチであるという事。
確かにあの報道で使われている場所は、文部科学省の建物の中の会議室である。各省庁にメディア関係者が集まる「記者クラブ」が存在し、今回の件は記者クラブがセッティングした内容であるという事。
あたかも、文部科学省で行っている資格制度と思われるような報道の仕方には問題があると文部科学省の方はコメントしておりました。
既に、報道各社には抗議を行っているとの聞いております。2.厚生労働省
この資格制度を立ち上げた団体、「ワールドリズムダンス技能協会」
ホームページを見ていただければわかりますが、厚生労働省認可 財団法人 職業技能振興会 監修
公的ダンス資格という記述があります。
そこで厚生労働省に問い合わせを行いました。
厚生労働省では、その資格は「ワールドリズムダンス技能協会」が独自に出している民間資格であり、厚生労働省は一切関係ないという事。この返答に対して、
「公的資格」
という記述がありますがという風に更に尋ねると、「公的」とは定義が非常に難しいものであり、公共性があるという事に関しての判断は厚生労働省では行っていない。
ただ、厚生労働省が認可している、「財団法人 職業技能振興会」というところが認可を出しているのであれば、そういう意味では「公的資格」と言えるかもしれない。
ただ、その内容に関しては基本的に厚生労働省は一切関知していないという事。3.財団法人 職業技能振興会
直接認定をしている団体、財団法人「職業技能振興会」にも電話してお話をうかがいました。
電話口に出た女性に質問すると、あくまで民間の資格であると強調されていました。
この資格が学校教育や、スタジオでのレッスンに必須であるという事ではありません。厚生労働省の方にうかがったのと同じ様に、
「公的資格」とありますが・・・と質問してみると。そういう意味では、「職業技能振興会」が認定しているから「公的資格」と言えますが、国家資格ではありません。
という返答。今回は認定に至る経過も少し質問してみました。
「どういう基準でこちらの団体を認定されたのですか?」子供の成長や高齢者の運動という意味での活動をされている団体と認識し、その活動趣旨が職業技能振興会の趣旨に合っているという事で認定に至りました。
電話口の女性は
「いわゆる、ストリート系ではないと認識しております。」・・・との事
「いわゆるストリート系ではない」
ダンスの資格が、なんで「ヒップホップ」という言葉を使っているのか???
自分にとっては全く理解できない話です。★まとめ
簡単にまとめると、今回の件は報道各社が大きく取り扱ったおかげで我々の業界の中では非常に話題になりました。
本来は
「ワールドリズムダンス技能協会」という団体が、独自に資格制度をスタートしました。というニュースが正確な内容かと思います。しかしそれではニュースバリューがない。
仮に報道されても資格への集客に結び付かない。
そこで文部科学省で記者会見をセットし、中学体育の件を引き合いに報道を行う。
ニュースの画面には「文部科学省」というテロップが入っています。ホームページでは
厚生労働省が認可している、財団法人 職業技能振興会の名前を出すことで公共性をアピールする。(これは実際にそうなようなので間違ったことではありませんが・・・)報道を見た方には、以下のように誤解する可能性が高い訳です。
・この資格自体が文部科学省が発行する資格である
・厚生労働省が認可している国家資格であるとか
・この資格を取らないと、学校では教えられない
・いや、ダンススタジオでも今後この資格が無いと教えられないのでは・・・全部そんな事はありません。
誤解する人が悪いという言い方はできるかと思います。
「そんな事書いていない」、とか、「言っていない」とか言えるかも知れません。しかし、本当にそれでいいのでしょうか?
報道を見聞きする人の誤解を狙って記者会見を行ったと考えるのは、ゲスのカングリでしょうか?自分はそうは思いません。
多くの方が誤解してしまうような内容を報道する事自体が問題であり、報道各社が、裏を取らないでニュースソースとして報道しているとしたらそれも大きな問題かと思います。そしてなにより、誤解を狙って、この記者会見がセットされているとしたらそれ自体が大きな問題です。
繰り返しますが、この団体が発行する資格は、あくまでこの団体が独自の視点で発行する資格であり、ダンスを教えるにあたって必要なものではありません。
講習や資格試験の中身に関しては、現在自分は内容を全く知らないので、批判する資格はないし、するつもりもありません。
ただ一つ疑問に思う事は、役員や指導者などの中に、ストリートダンスシーンを支えてきたような人物の名前が全く見当たらないという事です。
だからと言って内容がいいか悪いかを判断するのは短絡的ですが・・・。また、資格を取るのに、年会費を入れると7万円近い費用がかかるという事を問題にしている人もいます。
これに関しては、各個人が内容をよく理解し、お金を払う価値があると判断した場合は問題ないと思います。
一民間団体が、どういう価格設定で営業を行っても、それは自由です。全ての問題は、この資格があたかも国の機関が発行する資格であると誤解させるような会見を行った「ワールドリズムダンス技能協会」もしくは「職業技能振興会」の姿勢、そして、内容を知っていて、もしくはそうだと誤解して、報道を行ってしまった報道各社にあると思います。
今後は、
自分達、HIP-HOPにかかわってきた人間が、どういう姿勢でこういう状況に臨むべきかをよく考えて、行動に移していきたいと思います。
わかりやすい。。。。
ようするに思っていたよりも公的なものではなく、気にするなって事ですね。
日本のストリートカルチャーが盛り上がって欲しい。
ただただそう願いますし、貢献をしていきたいと思います!
ありがとうございました!