HOME >
安藤美冬女史(ノマド女王)とマルチの件につきまして。
2012.06.14|iwamura
「みなさん、生きるって、大変ですね。」
東京国際フォーラムを埋めつくす数千の大観衆が、拍手と歓声で恰幅のいい、50代半ばとおぼしき紳士を迎え入れる。
紳士のトークは続く。
「オトコはいいですよ。会社行ってればいいんですから。
その点、女性は大変です。
朝食の準備。家族を起こして、子どもを学校まで送ってゆく。
それが終わったら掃除洗濯、お昼を食べて買い物へ出かけます。
帰ってきたら、息つく暇もなく洗濯物の取り込みと夕食の支度。
食事の後片付けをしながらお風呂の準備。当然、自分が入るのは最後です。」
会場は気づけばオバさんばかり。
みな、ステージ上の彼のトークへ引き込まれてゆく。。。
「みなさん、生きるって大変ですね。」
一様にうなづく大観衆。。。
トークはこの後、彼自身の苦労時代、バブル終焉とともに自分の会社も倒産し、その際、社員を守れなかった過去へと急転直下。
そして、社員どころか、泣き崩れる妻の、その肩もだけなかった涙のメモリーへと進行。彼の奥さんはその後過労から亡くなることになる。
すすり泣く大観衆。
ときおり、「がんばれー」との声援。
そして、彼は言います。
「今でも、妻に言われたひとことを思い出します。『あなた、私たち、こんなに頑張ってきたのにね。。。』」
会場は涙の嵐。
気づけば暗転しているステージ。
しかし、そこに一点の光がともる。小さな音で奏でられるオーケストラ「木星」。
「みなさん、生きることは大変です。
でも、苦しい過去よりも、今皆さんに必要なのは、一歩踏み出す勇気です!
今日ここにいらっしゃる皆さんは、のちほどロビーにて、私と直接の『取引』の権利を得られます。
私の貯金通帳、見てください!
今は亡き妻に、腹いっぱい寿司を食わせてやりたかった!綺麗な服を買ってあげたかった!
でも、もう遅いんです。
皆さんはまだ間に合う。
過去を振り返る時間があったら、一歩踏み出す勇気です!
さあ皆さん、一緒に、○○ジュースを世界に広めてゆきましょう!
社会や運命の嵐に負けない、強い力を、○○ジュースとともに!」
「木星」大音量サビ部分。
拍手喝采、泣き叫ぶ大観衆。
あいた口が塞がらない自分。
さて、そんなニュースがこちら。
http://otsune.tumblr.com/post/24859874178/masa-12-25
ということで、各所調べてみたわけですけれども、否定する材料も出なかったので、安藤美冬女史については現在進行形でアムウェイで活躍をされているマルチまがい商法従事者であることは確定でいいのかなあと思います。もちろん、マルチまがい商法が、すなわち即座に違法であるということではありませんし、否定するものでもありません。
あくまで、安藤美冬女史がマルチまがい商法に加担していたのなら、先にそう言ってくれれば良かったのに、と思うのみであります。
…と、存分に予防線を張ったところで元ネタに関するところであるんですが。
http://yakan-hiko.com/kirik.html
http://magazine.livedoor.com/magazine/50例によって、片付けのカリスマとしても著名な近藤麻理恵女史の名前もうまく使いつつ、パーソナルブランディングを盛大に行って、自分がいかに優れた人と付き合っている魅力的な人物であるのかという喧伝をちりばめるあたりは、さすがはノマドの登り龍こと安藤美冬女史の真骨頂であるかなと思います。「偉い偉い誰それの友達」を豪語して商談を進めようとする中国人と似ていて、とても好感度が上がりますね。ハイアングル過ぎて、浮き上がったハートが月面着陸してしまいそうです。
※やまもといちろうブログさんより
そおだなあ。
難しいですよね。ひとことで「マルチ」ってどこまでなんだという問題もあります。
※10人から1000円ずつ集めて、1年で何もしなくてもその10人に20%の利益を与えると約束。
やり方は簡単で、2人の新規会員を獲得し、そこから得た2000円を先に入会した会員へ分配。
※繰り返し。
マルチがシステム的に崩壊しているのは、会員を増やし続けるか、あるいは新規会員からの徴収額を上げる以外、その上前をハネて上の(先に入会した)人間が食うことはできない、というところにあると思うのです(徴収した会費の運用という手段もまた在るには在るが)。
しかしじゃあ国民年金だっておんなじシステムだろコラとか、いやいや資本主義社会のシステムそのものが、底辺の人間から吸い上げる弱肉強食の世界だろうがとか、人間は地球にとってビールスであり、利己的な遺伝子を否定するならそもそもSEXヤメロ、二酸化炭素吐くなしねとか、どこまでが正義でどこまでが悪かという問題は線引きできない深いブラックホールのナゾなわけです。
ただ、やまもといちろうせんせいもおっしゃられている通り、希望の星と世間で応援されていた「ノマドの女王」がマサカの広告塔だった?!という受け止めかたをされる危険性が、今回極めてMUTEKI的だったと申しますか、これはこれで議論になるなら、彼女が一石を投じた意味はあったのかなとは思いますが。
ただ、人類の生存欲求と利己的な遺伝子のはざまで人間がそれでも生きようとするように、あるいは、奥さんにうまい飯を食わせるために、最低限のお金は当然必要です。
食うってことはきれいごとばっかりじゃない。
ただ、食うために生きてるんじゃなくて、生きるために食ってるのがホントウであって。
飯が余ったらクルーザーもいいけれども、クルーザー以外に、その飯をどう分け合って食うか、種もみをどう植えどう育てるか、そうしたところに、動物とは違う、人類の生き方というか、愛みたいなものも、また存在すると思うのです。
彼女のウェブサイトが閉鎖されていない現状を、個人的に尊敬して拝見しています。
強い彼女の「これから」が、今後我々が注視すべきポイントではないでしょうか。