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「いいね、くだらないの。がんばってね。」by TAKESHI KITANO~ドロドロのカルマの中で~
2010.06.11|iwamura
「アウトレイジ」公開前のオオモノ監督に「コケる芸を習う!」とするサイトが大爆発していたので、ご紹介。
「大物監督にインタビューすることになってさ、壇上に上がるときのズッコケる芸を教えてもらおうと思うんだけど…」デイリーポータルZWebマスター・林さんからそんな話を聞いた。
…ズッコケる芸って、監督に話通ってんですか?
「宣伝の人によると、気が乗ればやってくれるかもしれない、って社長が言ってたって。」
通ってない!やばい、死ぬかもしれない。
(大北 栄人)
※デイリーポータルZさんより
世界のKITANOにズッコケ芸を!!!
「これはすごい」!!!
上記サイト、基本的には、映画宣伝を十二分におもんぱかったサイト作成になってはおるのだが、彼の「くだらなさ」をきちんとフィーチャーしている点が、「ビートたけし」を深く理解しているな、というつくりだったので、なんだかフツーに感動してしまったのでした。
「暴力映画なんて屁みたいなもんだよ」
―ヤクザ映画ってカッコイイ!と思ってしまったんですが、同時に、あ、不謹慎かも、と思ってもしまうんです。今そんなヤクザ映画離れした世代にバイオレンスをぶつける不安はありましたか?
まあ「今度の暴力映画で社会に対する影響は?悪影響があると考えませんか?」って海外でもよく聞かれるんだけどね。
よく答えるのは「逆に言うと、愛と感動の映画が社会に対してどれだけいいことしたんだ」って。暴力映画よりも圧倒的に数が多いのに、相変わらずベトナム以来、アフガンもなにもイラクもなにも、あんなめちゃくちゃなことが起きてんのに、映画の影響がどこにあるんだよ、って。
だから暴力映画なんて屁みたいなもんだよ、って言ったらみんな納得してたみたいだけど。映画にそれほど期待してちゃいかんよ、って。
これは、映画を愛し、映画をを創ったことのある人の、発言だな。
「映画は、映画だろ。」
一般人が言ったら刺される。
。。。小生も大好きなのです。北野監督。
小学生時代(中学生だったかな?)一番最初に、この人のコワさというか、力強さと言うか、人間臭いカルマみたいなものを感じたのは、「その男凶暴につき」「ソナチネ」だった。
そして、それらバイオレンス映画は、「キッズリターン」という形へと昇華し、系譜的には、「Brother」というパワーアップ形体となり、今回の「アウトレイジ」へと受け継がれたわけで。
やっぱり好きなんですよね。
ゲロしたり、泣いたり、汗かいたり、血が流れたり。
それって、みんなやってることだし、人類の避けえない歴史の痛みだと思うから。
そういうカルマを、隠さず全面に押し出す、彼の侠気が、好きなんだなあ。
上記サイトインタビューにても、「動画エンドの黒塗りのクルマがカッコイイ」等コメントが見られるが、だが、それでも「バイオレンス映画なんて屁みたいなもん」と言い切る北野監督、インタビューでは、しっかりズッコケ芸も披露&正調コマネチのやりかたも指導。
このヒトのふり幅のデカさが、そのまま人類共通のふり幅であって、世界基準の共感に繋がっているのだと思う。
「いいね、くだらないの。がんばってね。」
インタビュー最後の、彼の言葉が、深すぎますね。
やるしかねんだよな。
いい悪いじゃない。人にくだらないって言われたっていい。信じたこと、がんばるしか、ねんだよな。泣いても血反吐はいても、どんなに汚くったっていい。ドロドロのカルマの中で、それでもしかし、おれたちは、生きてくしか、ねんだよな。