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「崖の上のポニョ」のモチベーション/宮崎駿監督インタビュー
2008.12.01|iwamura
宮崎駿監督のインタビュー記事があったのですが、「仙人」みたいにスゴイです。映画の話あんまりない。
でもちょっとまとめてみました。
☆『風の谷のナウシカ』『もののけ姫』などのアニメーション映画を手掛けた宮崎駿監督が11月20日、東京・有楽町の日本外国特派員協会に登場し、講演を行った。
私たちが作った『(崖の上の)ポニョ』という作品は、実際にスタッフに子どもが生まれて、その子どもを見ているうちに、「この子が最初に見る映画として作ろう」ということで、それを自分たちのモチベーションにして作りました。
今、私たちの社会は潜在的な不安に満ちています。それから、子どもをどういう風に育てたらいいのかということについても大き な不安を持っています。
それで映画を作りながら、私たちはジブリで働いている人間のための保育園を作ってしまったのです。
この国に立ち込めている不安や将来に対する悲観的な考え方は、実は子どもたちには全く関係ないことなのです。つまり、この国が一番やらないといけないこと は、この子どもたちのための環境を整えること。ナショナリズムからも解放されて、もっと子どもたちの能力を信じて、その力を引き出す努力を日本が内部 需要の拡大のためにやれば、この国は大した国になると信じてます。
「自分の子供をつくらないと、本当にいい映画は創れないのだ」という意味のことを、この本でも宮崎監督は言っていた気がします。
「自分の子供をモチベーションに、未来に向かって仕事をする」ということについて、考えさせられます。
以下、外国特派員のみなさんとの質疑応答。
――私はイングランドの田舎に実家があります。近所は農家で、子どもたちは昼間牛や羊の面倒をみるなどの仕事をしているが、夜にはあなた の映画を見る。彼らは現実世界とバーチャル世界を区別してないように思えるのですが、あなたは現実世界とバーチャル世界の違いについてどうお考えですか?
この国ではバランスが崩れているのです。バーチャルなものに取り囲まれているわけなんですね。その環境を変えるために、内部需 要の拡大を図るべきだと私は思っています。
自分で火をおこして、燃やし続けて消すこ とができる、水の性質を理解している、木に登れる、縄でものをくくれる、針と糸を使える、ナイフを使える。これだけは国が責任をもって子どもたちに字を教 える前に教えなければいけないと思っています。
――先ほどの講演で「子どもたちをナショナリズムから解放したい」とおっしゃいましたが、今後は地域社会に根ざした映画を作るつもりか、グローバルな映画を作るつもりかどちらですか?
「世界の問題は多民族にある」という考え方が根幹にあると思っています。ですから少なくとも自分たちは、悪人をやっつければ世界が平和になるという映画は作りません。
「あらゆる問題は自分の内面や自分の属する社会や家族の中にもある」ということをいつも踏まえて映画を作らなければいけないと思っています。
――宮崎さんの映画には、環境問題について示唆する場面が多く登場しているように思えます。宮崎さんは日本の環境問題の現状について楽観的ですか、悲観的ですか?
ものすごく悲観的ですね。(環境問題については)とことんひどくなるまで学ばないだろうと思います。
この国は生産するよりも、消費する方が多い国なんです。食料の自給率が低 いとか、自分が着ている下着が全部中国製であるとか、そういうことがこの国の不安の根幹にあるんだと私は思っています。
その構造を劇的に変えることは不可能ですから、個人的には、自分と自分の周辺に関しては最大限の努力をしていくつもり です。
――第二次世界大戦後の日本の歴史の中で、一番懐かしさを感じる時期があれば教えてください。もしなければ、日本の歴史の中でどの時期に懐かしさを感じますか?
ずいぶん私は探していたのです。いつが一番良かったのか。どこで止まればよかったのか。
「いったいどこに止まれば良かったのか」というのは、これはずいぶん探しましたが、結局「楽園というものは自分の幼年時代にしかない、幼年時代の記憶の中 にだけあるんだ」ということが分かりました。親の庇護(ひご)を受け、多くの問題を知らないわずか数年の間だけれども、その時期だけが楽園になると思うよ うになるのではないでしょうか。
「『楽園』と呼べる美しい時代に、子どもたちがいる間に。
当たり前に必要な生きる術と、自分たちの中にもある問題について、映画を使って語ってゆく。」
。。。やはり、宮崎駿監督、唸らされます。
インタビュー詳細はこちらでまとめて公開されております。お時間あればぜひ。