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英語社内公用語化の是非~楽天と日本の未来~
2010.07.08|iwamura
楽天さんがの英語公用語化について。
これについては賛否ある。
まず「否」から。
ユニクロが社内の公用語を英語にするという決定を下した。これは、ゴーン社長就任以来公用語が英語となった日産、先日英語化を決定した楽天に続く流れである。
しかし、わたしはこれに異義を唱える。「英語=グローバル対応」というのは、グローバル化を理解していない。「英米ローカル=グローバル、他文化ローカル=ガラパゴス」という勘違いがその根底にある。わたしなら「できるだけ多様な第二(・第三)言語」の習得を強力に進める。「英語化」ではなく「多言語化」を強く主張する。
わかる。
そりゃもちろん、中国語もヒンディー語もスペイン語も、部署ごとに話せる人間分けて担当させた方がグローバル化にはより近い。
でも、一企業が行うにはまず一言語で統一するのが効率的で妥当。
世界で利用者の多い英語と中国語を話せるようになると、だいぶ「便利」にはなる。
そもそも、英語(中国語)人口は世界でこんなにいるわけで。
- 英語 (14億人)
- 中国語 (10億人)
- ヒンディー語 (7億人)
- スペイン語 (2億8000万人)
- ロシア語 (2億7000万人)
- フランス語 (2億2000万人)
- アラビア語 (1億7000万人)
- ポルトガル語 (1億6000万人)
- マレー語 (1億6000万人)
- ベンガル語 (1億5000万人)
- 日本語 (1億2000万人)
英語と中国語話せるだけで、世界中の3人に1人、4人に1人とは話せることになる。
そして、こうした考え方に基づく(?)楽天さんの昨今の勢いは下記に列挙するまでもない。
☆「楽天銀行」5月誕生 子会社イーバンク銀を改名(asahi.com)
結果こそ正義。現状は、「英語社内公用語化」はきっと正しいんだろうな。
ただね、こないだ、ぼくの友人は「楽天辞める!」って叫んでたんですね。
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「言葉は、自分の好きなように勉強したいし話したい。言われなくったって、それぐらいするよ!」
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言葉は「記号」であって、「便利な人類の発明」であるとともに、「ことだま」であって、「感情の音声表現」であって、これすなわち「魂の叫び」であるから、ビジネスにおいて「強要」されることに、違和感を覚える人間は多いと思うんだよな。
それが、仕事のモチベーションにも、当然ながら影響するだろうなとは思う。
企業(国家も)は組織だし、組織が一丸となって動くことはもちろん「是」。
だがそれでも、戦後日本語継続を決定した日本国は、日本独自の文化や考え方で世界と渡り合ってきたわけで。
もっとも近道で効率的と思われる方法が、日本人の日本人らしい思考という根幹を亡くす危険性も同時にはらむ。
他人事(他社さん)だから、「おやんなさいおやんなさい」という意見はぼくの中で変わることは無い。しかし、こうした「英語公用化効率化企業」が、いつか根なし草の企業として、世界で本当の悪い意味での「クラウド」になってしまうことを心配するぼくではあるのです。
言葉ってこころ。こころまで、強要される感じ、苦しいと思う。
酒場で「楽天辞めてやる!」と叫んでいた、友人の日本語の叫びが、ぼくに今日のブログを書かせている気がするのです。