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頭の中が色々わかる“脳スキャン”
2013.08.23|shiozawa
人間の“脳”の中を探る、そんなことは不可能と思っていましたが
最新の研究では、
人間が考えている事を外側からかなり正確に読み取ることができるようになっています。
この外側から脳内を読み取ることを“脳スキャン”というようです。
そんな脳スキャンの研究結果をいくつか紹介☆
目で見ている文字を脳の活動から読み取ることに、ある研究チームは成功したそうです。
■脳スキャンで「見ている文字」の解読に成功 <2013.8.22>
オランダにあるラドバウド大学ナイメーヘン校の研究チームが、被験者の脳内の知覚情報を「解読」することに成功した。
形状認識とアルゴリズムのトレーニングを組み合わせ、人間が文字を見たときに生じる機能的磁気共鳴画像(fMRI)の信号の変化を理解するよう、アルゴリズムに学習させる方法を用いたものだ。
「これは知覚を解読しているといっていい」と、『Neuroimage』誌に近く発表される研究の共著者であるマルセル・ファン・ヘルフェンは述べている。
今回用いられた手法は、視覚刺激を後頭葉においてとらえるというもの。
後頭葉は、脳の後部にある視覚処理の中枢であり、この場所と網膜における情報は1対1の対応関係を保つ。
「視覚空間におけるピクセル(画素)は、皮質においても同じようにマッピングされる」と、ファン・ヘルフェン氏はWired UKの取材に対して述べた。
簡単にいうと、網膜上のピクセルは、後頭葉においても同じ相対的位置を占めるということだ。
引用:WIRED.JP
これはとっても面白いお話です。
目で見たものがそのまま脳内の“後頭葉”で
目で見た位置と同じ位置関係で反応する
まるで写真を脳内にコピーしたかのようです。
上の画像は
研究では、被験者をfMRIスキャンにかけた状態で、画面にぱっと現れる一連の文字を見せた。
筆跡がいろいろに異なる手書きの文字「B」「R」「A」「I」「N」「S」を表示し、それを見たときの後頭葉の反応をfMRIによってモニターした。
まさにその、モニターに表示された結果です。
文字として正確に読み取ることができるようです。
そしてこちらのニュースも脳の中の情報を外部から読み取る事が出来た一例です。
■「植物状態」患者と意思疎通に成功:脳スキャンを活用 <2013.8.21>
12年間にわたって無反応とみなされてきた患者であっても、脳で行われている活動をスキャンすることで、意思疎通ができることが示された。
「JAMA Neurology」誌で発表されたこの研究では、重篤な脳損傷により長期間無反応だと考えられてきた3人の患者(1人は、植物人間状態にまで陥っていると考えられていた)が、実際には外部からの指示を理解していることが示された。
論文では、彼らがそれをどのようにして示したか詳しく述べられている。
[「植物状態」は、脳の広範囲が活動出来ない状態にあるが、辛うじて生命維持に必要な脳幹部分だけは生きている状態を指す]
論文の主著者である西オンタリオ大学脳心理研究所のロリーナ・ナシ博士は、リリースで次のように述べている。
「私たちは今回初めて、植物状態と診断された患者が、自分の注意を向ける先を変えることで、自分に意識があることを伝え、他者と意思疎通を図ることができることを明確に示した」
引用:HUFF POST
外部的な見た目と簡単な脳波だけでは脳死状態かが実はわかっていなかったということを示しています。
ということは、本当は脳死ではなかった人も脳死の判定を受けていた可能性があるということも考えられます。
ちょっと恐ろしくも感じる研究結果です。
ただし、身体的な理由で意思疎通が難しい人とのコミュニケーションには大変役立ちそうです。
次は人間以外の動物に利用した場合の研究結果です。
■「イヌの思考」を脳スキャンで調査 <2012.5.7>
イヌの脳をfMRI(機能的磁気共鳴画像)装置でスキャンし、イヌが「何を考えているか」を研究する試みが進んでいる。
『Public Library of Science One』に掲載される予定の研究論文では、イヌの脳において、報酬を期待するときに活性化すると予測される領域が、実際にその通りだったことが実証され、fMRI(機能的磁気共鳴画像)装置によるイヌの研究が論理的に実行可能であることが示されたと述べている。
論文の主著者であるエモリー大学の神経科学者であるグレッグ・バーンズは、普段は人間の意思決定における脳の様子(日本語版記事)を研究している(日本語版記事)。
バーンズ氏によると、認識研究の動物モデルには、こうした研究で一般的に用いられるサルよりも、イヌのほうが優れている可能性があるという。
サルにとっては、人間がたくさんいる実験室は異常な環境だが、イヌにとっては人間と一緒に過ごすことは自然な環境だからだ。
引用:産経新聞
人間のみならず、他の動物も考えた時に活性化する脳の位置さえわかれば読み取ることができそうです。
特に犬は人間と接する事の多い動物なので私もとても気になります。
この犬はいったい今何を考えているのかなと。
他には犯罪予知に使えるのではないかといった例です。
■最新の脳スキャン技術を使うと犯罪を予知できるらしい <2013.04.25>
ニューメキシコ州のアルバカーキにある、非営利のMind Research Networkの神経科学者ケント・キール氏と、その共同研究者は、釈放直前の男性受刑者96人を対象として研究を行いました。彼らは、受刑者達に、迅速な判断を要したり衝動的な反応を抑制しなくてはならないコンピュータータスクを与え、その間の脳の様子を機能的磁気共鳴画像(MRI)でスキャンしたのです。
このスキャンでは、意思決定や共感、また情動等の認知機能に関わっているとされる前帯状皮質(ACC)の動きに注目しました。
そして、出所後に、彼らがどのような生活を送るのかを追ったのです。
調査対象者の中で、迅速な意思決定をするタスクでACCの活性が低かった者は、年齢や薬物、またアルコールの乱用、精神病等、他のリスク要因を確認した上で、出所後にも犯罪を犯し逮捕される可能性が高かったという結果が出ました。
そして、ACCの活性ランキングの下半分に位置した男性は、あらゆる犯罪の再逮捕率が2.6倍、非暴力犯罪での再逮捕率は4.3倍という数字となりました。
昨今、どのようにすれば脳イメージングスキャンで未来の行動を予測出来るのかということが研究されており、今回紹介したものは、その中の最新のものです。
しかし、fMRIに依存する研究は、その信頼性に議論の余地があります。数年前のことですが、死んだサーモンの脳をfMRIでスキャンしたところ、活動しているとマシンが読み取ったことがありました。
引用:GIZMODO
脳スキャンの結果で犯罪の再犯率がわかってしまうというのも、未然に犯罪を防止する事ができるといった点では有効化もしれません。
ただ、気が付かないうちに犯罪防止のマークが自分にもかかっていたらと考えると不安な思いもあります。
脳スキャンの技術が進めば進むほど、被験者がどんなことを考えているかが正確に読み取られるということですから、
“犯罪者の脳内を探ることができれば、その事件の真相が読み取ることができる”
そんな、映画のような時代が来るかもしれません。
今後の研究の進歩が楽しみでもありますが少々怖さも感じます。
ありがとうございます。