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風車の極大と極小☆
2014.01.17|shiozawa
昨年の11月にとうとう福島の洋上風力発電が開始したということで、
太陽光発電に並ぶクリーンエネルギーとして“風力発電”が最近よく紹介されています。
そんな風力発電。
大規模なものをすぐに想像してしまいますが、
その正反対の“極小の風力発電”の風車が開発されたようです。
■わずか1.8ミリサイズの極小マイクロ風車が完成、将来的にスマホも充電可能に (2014.1.15)
そんな中、テキサス大学アーリントン校電気工学部教授のSmitha Rao氏たちが、将来的には、スマートフォンなどの携帯機器の充電も可能にする、わずか約1.8mmという極小サイズのマイクロ風車を発明しました。
通常の風車を使った風力発電機は、1つだけでも広いスペースと、ある程度の風速を必要としますが、Smitha Rao氏とJ.-C. Chiao氏が開発した最も長い部分でも約1.8mmという極小マイクロ風車は、1つの米粒の上に約10個乗せられるほどの極小サイズで、将来的には大量のマイクロ風車を取り付けたデバイスを空気中で振り回したり、風の強い日に掲げているだけで発電してバッテリーの充電を可能にするとのこと。
引用:Gigazine
1つの米粒の上に約10個 !
間違って口にしてしまっても気づかないほど小さい。
そこまで小さい必要があるのかと思ってしまうほどのサイズなので、驚愕の技術ですが
はたして一つ当たりでどれだけの電力が発電できるのかというところが一番疑問です。
しかし、プラスに考えれば、数で勝負。
空気さえあれば風はどこでも起こりますから、使い方によっては無限の可能性があるのかもしれません。
小さいものが約1.8mm。
では、現在の最大は?ということで
■経産省の浮体式洋上風力発電/世界最大7メガワット2基新設
経済産業省は、福島県沖で進めている「浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業」の第2期事業として、世界最大級の7メガワット浮体式洋上風力発電設備を2014年度から2カ年で新設する予定だ。
15年度末までに、世界初となる大規模浮体式洋上風力発電技術と洋上風力のビジネスモデルを確立させたい考え。
福島を「再生可能エネルギー先駆けの地」とするためのシンボルとともに、東京五輪開催の20年を目標の一つにしている。
第2期事業は、福島県楢葉町沖合約20㎞、水深約120mの海面に設置した現在の2メガワットの風力発電設備の設置海域に、アドバンストスパー浮体とV字型セミサブ浮体の2タイプの7メガワット洋上風力発電設備を設置する予定。
7メガワット風車は、1期事業で設置した2メガワット風車の2倍となる直径約160mとなる。
16年度以降は、地元漁業者など関係者と調整した上で、同事業の実用化を目指す。
引用:建設通信新聞
この巨大な風車。“ふくしま新風”と命名されたようです。
風車のサイズだけで160m。
当然風車だけでは立ちませんから、全長は200m越えではないでしょうか。
まだ稼働していないとのことですが、今年から稼働がスタートするとのことです。
では、なぜそこまで巨大化させる必要があるの?
ということですが理由はちゃんとありました。
風力発電の発電量は、風車の半径の2乗、風速の3乗に比例して増大する。
半径が2倍になれば発電量は4倍になる計算だ。
つまり、大型になればなるほど発電コストが割安になる。
そのため、風力発電機は年々大型化する傾向にあり、欧州、米国、中国を中心に大型風力発電機の導入が加速している。
なるほど。
風車の半径で乗数的に発電量が増える☆
納得です。
また、他にも洋上風力発電のための設備の建設がどんどん進んでいるようでして、
2km離れた海域には発電した電力を高圧に変換して陸上に送るための変電設備と風向きや風速を計測する観測タワーを乗せたサブステーション「ふくしま絆」も据え付けられた。
こちらの水面からの高さは60m。6万6000vの変圧器の洋上設置は世界初だ。
<浮体式洋上サブステーション「ふくしま絆」(福島洋上風力コンソーシアム提供)>
引用:nippon.com
そのままの電力を直接陸上に 送るとロスが大きくて効率がわるくなってしまうため、
風車と一緒に変電所まで海にプカプカ浮いているようです。
遅れをとりながらも、日本も本格的に風力発電建設に乗り出してきているようですが、“技術”の方はどうなのでしょう。
■三菱重工、油圧ドライブで大型化に対応
浮体式洋上風力発電所の建設技術そのものは既に確立している。
海底油田やガス田開発で取得した浮体式プラットフォーム技術を導入すればいいからだ。
沖合の風車から陸上に送電するための海底送電ケーブル技術も日本は保有。関連技術を持つ有力企業もそろっている。
問題は高い初期コストだ。
高深度の海域での浮体式発電設備の設置は建設費が高く、メンテナンス費用も陸上の比ではない。
コストを引き下げるためには風車を大型化するしかない。
それを実現したのが三菱重工だ。
風車が生み出す回転力を歯車ではなく、油圧で発電機に伝達する「油圧ドライブトレイン(動力伝達装置)」を開発。
英国の陸上実証機で稼働するとともに、7000kw風車2基(うち1基は「ふくしま新風」と命名)に導入する。
2010年に買収した英ベンチャー企業・アルテミス社の技術をベースに完成させた。
風車をデジタルで細かく制御できるほか、メンテナンスに大型重機が必要だった増速機(ギアボックス)が不要となるメリットがある。
風車を大型化するためには故障しやすい増速機の増速率を高める必要があり、技術的ネックになっていたが、油圧ドライブはその課題をクリア。1万kw規模への対応も容易になったという。
引用:nippon.com
今回の7MWの巨大な風車を実現できたのも、三菱重工の世界初の技術があったからだということがよくわかりました。
記事の情報の限りでは今後はドンドン油圧ドライブ式の風車になりそうですね。
大きくすれば発電の効率が乗数的に大きくなるということはよくわかったのですが、
他にも“効率”を上げる方法はないのでしょうかということで調べたところこんな技術があるそうです。
“風レンズ風車”
風レンズ風車は、風車の3枚の羽根の周りにリング状の「風レンズ」を取り付けた小型風力発電機。
レンズが光を屈折させて太陽光を集めるように、リングが風を集めることから、こう名付けた。
同じ風速であれば、従来の小型風力発電機に比べて2~3倍の発電量を得られるのが特徴だ。
現在の販売価格は1基当たり300万~400万円。
これまでの販売台数は約60基で、まだ多くはないが、このところは国内外を問わず問い合わせが相次いでいる。高田氏は数年内に量産化にこぎつけたいと考えている。
<九州大学発のベンチャー企業、ウィンドレンズの高田佐太一社長>
引用:日経ビジネス
2~3倍の発電量になる☆
原理は簡単で、例えば川幅が急に狭くなると水の流れは突然早くなります。
こういった原理が大型の風車にも適用する事ができれば、より安定した有望な電力発電が実現できるかもしれませんね。
結局、大きな風力発電の話で終わってしまいましたが、
“大きいくなろうとするもの”と“小さくなろうとするもの”の両方が一つの原理の中で存在している事にとても興味深く感じました。
ありがとうございます。