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ビッグバンより前の宇宙を発見か!?
2014.05.09|shiozawa
“ビッグバン”。
宇宙の誕生はこのビックバンの瞬間に誕生したというのが現在の定説ですが、
今回、その“ビックバンより前があった可能性”を示す現象を、観測したとの事。
■実は存在、ビッグバン以前 宇宙誕生の痕跡を初観測 2014.04.26
宇宙誕生直後に起こった現象として「ビッグバン」はよく知られている。
このビッグバン以前に、極小だった宇宙全体が一瞬で急膨張する「インフレーション」現象が起きていたとする説が、宇宙誕生の謎を説明する理論として有力視されている。
米ハーバード・スミソニアン天体物理学センターなどの研究グループは3月、このインフレーションが起きていたことを示す証拠を発見したと発表、世界的な大ニュースとなった。
そのインパクトは昨年のノーベル物理学賞の受賞テーマであるヒッグス粒子の発見を上回るともいわれる。
■時空のゆがみを検出
研究グループが南極の米アムンゼン・スコット基地にあるBICEP2望遠鏡を使って観測したのは、天球上、天の川からかなり離れた星が少ない暗い領域から来るマイクロ波(電波の一種)。
<BICEP2望遠鏡のある米アムンゼン・スコット基地のダークセクター実験棟>
このマイクロ波は非常に遠くの宇宙から来たと考えられ、その到来方向ごとに「偏光」と呼ばれる電波の振動方向の偏り具合を調べた。
その結果、インフレーション時に生じた時空のゆがみが波として伝わる「原始重力波」に特徴的な偏光パターンが見つかった。
もっとも、原始重力波の証拠を発見したと証明するためには別の複数の波長域のマイクロ波の偏光について同様に調べ、理論予測と高い精度で一致することを確認する必要がある。
今回の観測は全天の1%に満たない領域を対象にしたものなので、最終的には全天にわたって同様の観測をする必要がある。
引用:日経サイエンス
非常に遠いところから来る光は何光年離れているわけでして、光の速度にしても何年とかかってしまうということです。
つまり、例えば何億光年も離れた場所で誕生した光をとらえる事に成功すれば、何億年もの過去の宇宙の姿を見る事ができるということになります。
そういった方法加えて、新しい光(電波)と古い光(電波)を切り分ける技術(偏光というようです)によって、ビッグバンより古いと思われる電波をとらえる事に成功したのが今回の発見のようです。
また、今回の発見は理論予測としては以前から存在したようです。
■最新宇宙論(6完)インフレ膨張以前、未解明
宇宙はビッグバンから始まりましたが、ビッグバン以前はどうなっていたのでしょう。
現在、ビッグバンの前にインフレーション膨張 という時期があったと考えられています。
ビッグバン以前、宇宙は膨張速度が時々刻々速くなる加速膨張をしていたのです。この膨張を貨幣価値が下がり物価がどんどん高くなる経済用語を借りてインフレーション膨張といいます。
現在の宇宙も加速膨張をしていますが、それとは別の原因です。
宇宙の始めのインフレーション膨張の原因はインフラトンという未発見のある種の素粒子と考えられています。
インフラトンのエネルギーはあるとき別の形に変わり宇宙全体を急激に加熱することに使われ、インフレーション膨張は終わります。
この加熱された状態がビッグバンです。ではインフレーションの前に宇宙はあったのか?この疑問にはまだ答えが出ていません。(東北大大学院理学研究科教授 二間瀬敏史)
予測を証明する形の発見であったようですね。
今回の発見ではまだ“可能性が高い”にとどまっております。
一部の空からだけでなくより広範囲の空から「原始重力波」に特徴的な偏光パターンが検出されればいずれ“宇宙の誕生はインフレーション膨張から始まった”と世界中の教科書が書き換わるのかもしれません。
ありがとうございます。