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ベネッセ情報漏えい事件と「個人情報の賠償金額」について
2014.07.21|iwamura
ということで、ベネッセさんは200億円のお詫び金を準備という事ですが、教育ママの顧客の多いベネッセさんにおかれましては、250億円くらいは、覚悟しておいた方がいいかと思われます。
これは、報道されているように500万件の個人情報の流出に対する見舞い金だと考えた場合、その賠償金額は1データ流出あたり「5000円」になる、といった計算になるかと思うのです。
それでは10年前の、Yahoo!BBさんのときの情報漏えいのときは「見舞金」はいくらだったのでしょうか。
2004年1月23日、ソフトバンクは、Yahoo! BB登録者の個人情報が外部に漏れていた事を発表した。最終的な漏洩数は約450万人であるとした。なお、1月23日、警視庁は主犯格である右翼団体「新生日本協議会」元会長で出版社経営の人物と東京都内のヤフーBB代理店の役員2名をソフトバンク本社に対し個人情報と引き換えに30億円を脅し取ろうとした恐喝未遂容疑で逮捕した。また、以上の東京都内のルートとはまったく別の犯行として、愛知県の会社員も個人情報と引き換えに1000万円を恐喝した同様の容疑で逮捕した。
当初、殺到する苦情に対し、ソフトバンク側はお詫びの電子メールを送付。それでも苦情が沈静化しないことから、ソフトバンクBB加入者に対して500円の金券を送ることにした。
※wikipediaより
うーん、これはこれで大変な事件でしたね。
1000万円とか30億円といった個人情報を人質にとった「恐喝」の数字も出ておりますが、最終的には500円金券×500万件(ベネッセさんと同じ漏洩数字だ)で25億円の見舞金ということで手打ち。
以上を持って、「ベネッセ500万件×5000円=250億」と「Yahoo!BB500万件×500円=25億」の不等方程式を比べてみると、『10年で10倍の賠償金増額の法則』が確認されてしまうという事になるわけです。
また、このタイミングで、CCCさんとYahoo!さんのポイント連携と相互データ交換の件が発表され、そこに読売さんが果敢に噛みついたり、
またいっぽう、Yahoo!さんによる「個人のGPS位置情報をサービスに勝手に使ってもよくね?」という意見に対し、総務省が「ユーザーの同意を得ろや」という返答をしており、その意見書のやりとりが面白すぎるとネット界で話題になるなど、
このドサクサにまぎれてTカードと連携で一気に事を進めようとするYahoo!さんの男気みたいなものにも感動をせざるを得ません。
しかしながら問題は、来年番号配布、再来年1月開始の「マイナンバー制度」でございます。
これ、国による「国民総背番号制(ソーシャルセキュリティナンバー)開始」というお話なんですが、これが紐づけられるのは下記情報なわけです。
・住民票コード
・基礎年金番号
・納税者番号
・免許証番号
・パスポートID
・健康保険被保険者番号
・雇用保険被保険者番号
平成30年から上記へ追加して紐付けが決まっているのは下記個人情報
・銀行口座番号
・生命保険番号
・医療情報
このへん、情報漏えいしたらかなりヤバいですよね。
そもそも、給料(納税)情報解ったら、俺がワルモノだったら金持ちの家から順番に空き巣入るしな。。。
結局、民間企業の持っているデータとの連携も進んでゆくのでしょうし、あるいは、将来的にそういった話にしてゆくためには、総務省や国としても、「やっちまった」民間業者の襟を正さざるを得ない、といった背景があるのでしょう。
また、「国」と「民間企業」といった2者だけではなく、もちろん上記「マイナンバー制度」は第3者機関の設置も必要である気がします。
例えばそれはアメリカにおけるFTC(連邦取引委員会)のように、不正、過失をおかした企業に対し、立ち入り検査、営業停止を即座に行える機関であったり、あるいは、情報漏えいされた個人が企業を集団訴訟(クラスアクション制度)する際、被害者を支援する機関です。
現在設置されている「特定個人情報保護委員会」が国の立場(内閣府)からのみ意見展開をするのであれば、厳密な意味で「国でも、民間企業の立場でもなく、国民、消費者の立場から」意見具申、行動ができる機関がないとヤバいよなあこれって、とは思います。
我々の医療情報、すなわち遺伝子情報、及び納税情報、銀行貯蓄情報が国外に流出し、行きつけのガソリンスタンドへGPS誘導されていってみたら、レシートに名も知らぬ外資の製薬会社から薬の広告と、生命保険の勧誘が印字されていて「あなたの給料ならこのプラン!」みたいな時代が来ちゃうかもしれないのです。
ビッグデータ、個人情報利用は便利!という考え方はもちろんできます。ただ、プライバシーの完全な筒抜け状態はやはり息苦しく気持ちが悪い。
いずれにせよ、個人情報の価値は10年で10倍です。
マイナンバー制度施行後、さらにこの価値は上がってゆくでしょう。法整備や第三者機関の設立と共に、各個人、各企業における情報漏えいを防ぐための施策は、我々の未来に対する責務であると考えます。
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