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福島県立大野病院事件 判決公判

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2008.08.23|iwamura

福島県立大野病院事件の判決が出ました。日本の司法が『正当な医療行為を正当なものとして認めるのか』、それとも、『結果により医師は罰せられる職種とするのか』などどのような判決を下すのか。興味深く見ておりました。

加えて、私の身内にこの事件を見守る人間が2人いました。ひとりは医療関係者の立場から。もう一人はこの事件を起訴する警察・検察関係者の立場から。とても近い身内に双方の立場の人間がいたことで、両方の意見を聞いていた状況だったので、静かに判決を待っていました。

大野事件についてご存じない方はこちらから・・・・
http://jp.youtube.com/watch?v=k0_T6_tDH7A
http://jp.youtube.com/watch?v=dy66br3D8YM

結果は「無罪」という判決が出ましたね。

とりあえずほっとしています。

福島県立大野病院事件の福島地裁判決理由要旨

福島県立大野病院で帝王切開手術を受けた女性患者が死亡した事件で、福島地裁が言い渡した無罪判決の理由の要旨は次の通り。

【業務上過失致死】

●死因と行為との因果関係など

鑑定などによると、患者の死因は失血死で、被告の胎盤剥離(はくり)行為と死亡の間には因果関係が認められる。癒着胎盤を無理に剥(は)がすことが、大 量出血を引き起こし、母胎死亡の原因となり得ることは、被告が所持していたものを含めた医学書に記載されており、剥離を継続すれば患者の生命に危機が及ぶ おそれがあったことを予見する可能性はあった。胎盤剥離を中止して子宮摘出手術などに移行した場合に予想される出血量は、胎盤剥離を継続した場合と比較す れば相当少ないということは可能だから、結果回避可能性があったと理解するのが相当だ。

●医学的準則と胎盤剥離中止義務について

本件では、癒着胎盤の剥離を中止し、子宮摘出手術などに移行した具体的な臨床症例は検察官、被告側のいずれからも提示されず、法廷で証言した各医師も言及していない。

証言した医師のうち、C医師のみが検察官の主張と同趣旨の見解を述べている。だが、同医師は腫瘍(しゅよう)が専門で癒着胎盤の治療経験に乏しい こと、鑑定や証言は自分の直接の臨床経験に基づくものではなく、主として医学書などの文献に頼ったものであることからすれば、鑑定結果と証言内容を癒着胎 盤に関する標準的な医療措置と理解することは相当でない。

他方、D医師、E医師の産科の臨床経験の豊富さ、専門知識の確かさは、その経歴のみならず、証言内容からもくみとることができ、少なくとも癒着胎盤に関する標準的な医療措置に関する証言は医療現場の実際をそのまま表現していると認められる。

そうすると、本件ではD、E両医師の証言などから「剥離を開始した後は、出血をしていても胎盤剥離を完了させ、子宮の収縮を期待するとともに止血 操作を行い、それでもコントロールできない大量出血をする場合には子宮を摘出する」ということが、臨床上の標準的な医療措置と理解するのが相当だ。

検察官は癒着胎盤と認識した以上、直ちに胎盤剥離を中止して子宮摘出手術などに移行することが医学的準則であり、被告には剥離を中止する義務があったと主張する。これは医学書の一部の見解に依拠したと評価することができるが、採用できない。

医師に医療措置上の行為義務を負わせ、その義務に反した者には刑罰を科する基準となり得る医学的準則は、臨床に携わる医師がその場面に直面した場合、ほ とんどの者がその基準に従った医療措置を講じているといえる程度の一般性、通有性がなければならない。なぜなら、このように理解しなければ、医療措置と一 部の医学書に記載されている内容に齟齬(そご)があるような場合に、医師は容易、迅速に治療法の選択ができなくなり、医療現場に混乱をもたらすことにな り、刑罰が科される基準が不明確となるからだ。

この点について、検察官は一部の医学書やC医師の鑑定に依拠した準則を主張しているが、これが医師らに広く認識され、その準則に則した臨床例が多く存在するといった点に関する立証はされていない。

また、医療行為が患者の生命や身体に対する危険性があることは自明だし、そもそも医療行為の結果を正確に予測することは困難だ。医療行為を中止す る義務があるとするためには、検察官が、当該行為が危険があるということだけでなく、当該行為を中止しない場合の危険性を具体的に明らかにしたうえで、よ り適切な方法が他にあることを立証しなければならず、このような立証を具体的に行うためには少なくとも相当数の根拠となる臨床症例の提示が必要不可欠だと いえる。

しかし、検察官は主張を根拠づける臨床症例を何ら提示していない。被告が胎盤剥離を中止しなかった場合の具体的な危険性が証明されているとはいえない。

本件では、検察官が主張するような内容が医学的準則だったと認めることはできないし、具体的な危険性などを根拠に、胎盤剥離を中止すべき義務があったと認めることもできず、被告が従うべき注意義務の証明がない。

【医師法違反】

本件患者の死亡という結果は、癒着胎盤という疾病を原因とする、過失なき診療行為をもってしても避けられなかった結果といわざるを得ないから、医師法にいう異状がある場合に該当するということはできない。その余について検討するまでもなく、医師法違反の罪は成立しない。

http://www.asahi.com/national/update/0820/TKY200808200207.html

これが、本日以降判例となるのであれば、一般的でない論文や臨床上は空文化している教科書などを根拠に刑事訴追される恐れはなくなるだろう。少なくとも萎縮医療に走らなければならない理由は一つ消える。

各主要新聞の社説は朝日読売産経毎日

まず今回の判決ではっきりした事なのですが、どの新聞もふれていないのが残念な事。この事件に関して「冤罪」なのだということが報道ではちゃんと伝えられていないと思います。それともう一つ。メディアも含めて、あまりにも患者に寄りすぎたモノの見方がまん延しすぎていて、「医者は病気を治してくれるものだ」「医療サービスにミスや例外は許されない」という風潮は、日本の大切な医療チームを疲弊させるだけで、これからのぼくたちは根本的に意識を変える必要があるんだと、あらためて感じました。

インターネットを使った「本当に必要な医療情報サイト」を実現できないかと、今年に入ってからずっと考えている。患者と医者の間の本来あるべき関係を作るネットワークを作る必要があると思っている。まずはっきりしているのは、今のTVや新聞、雑誌などの既存メディアには無理そうだということ。でも、信憑性や信頼性を持たせるにはユーザー主導(患者主導)のやり方はピンとこないんだよな。国が主導のものだとわかりにくいものになりそうだし、民間に競争させると未だに「アガリスク」みたいなモノが混じってくる。

本気でなんとかしなければと思ってます。アイデアお持ちの方は、ぜひご一報ください。お手伝いします!。

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