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アニメ業界に儲けてもらうために。
2011.02.12|iwamura
ということで、先週金曜日、また先々週金曜日に、弊社ウェブサイトにて、アニメ監督2人の対談形式インタビューを掲載しました。
ぼくらの夢のかなえかた(第4回)~木村真二監督×森田修平監督インタビュー
です。
木村監督は、もともと美術出身。背景を主とする「世界観」創造の神。
彼が美術監督を担当した鉄コン筋クリートは日本アカデミー賞作品賞も受賞。大友克洋先生(AKIRA)作品ではSTEAM BOYでも美術担当。
彼の「世界観」はもうディズニーランド。
対する森田監督はおなじみFREEDOMの監督。
言ってみれば、サンライズスタジオで行われたこのインタビューは「今をときめくアニメ界トップ監督2人の対談」であったわけです。
しかし、インタビュアーの自分が一番驚愕だったのは下記質問とその答え。
日本のマンガ、アニメがサブカルチャーとしてこれだけ世界でも注目されていて、他の業界からは「アニメは儲かってるらしいぞ」みたいなイメージも持たれています。
木村 それはないです。
でも、ギャラの振り分けの荒さ、っていうのはあるでしょうね。それに、劣化したYouTubeの映像で充分という人がいる時代に、映像っていうものの売り方が難しくなっちゃってる。森田 この世界に入ってくる理由の一つは、面白い作品に関わりたいからだろうし、そうした作品を作っていけば、自分も稼げるんじゃないか、っていうのもあるはずなんですよね。
でも、今のアニメの現場は、作り手に夢を与えられているのかな、と。木村 海外への売り込みはプロデューサーの仕事だから──なんて話もしたけれど(第一回 ナイショだった? 大友作品『ヒピラくん』製作のヒミツ)、これからはそういう話はわからない、と終わらせないで、僕たちも興味を持っていくべき部分かもしれない。 森田 「作り手を目指す人たちに夢を持ってもらうためには、どんどん作品を作っていくこと」だと思ってます。 ※上記インタビューより抜粋
トップ2人のコメントです。
いいですか。「アニメ監督トップスター2人のコメント」です。
”「それはないです」。”
もちろん同時に、「発表できる場所」は若い人に夢を持ってもらうためにつくり続ける。ともコメント。
でも、本当は「稼げる」っていうことも、業界全体を考えた場合にとても大事だと思うんです。
どうやったら稼げるのか。
どうやったら日本アニメは救われるのか。
で、このインタビュー掲載の直前に、サンライズ宮河常務から発表された、ガンダムUCにおけるウィンドウ戦略結果の発表(朗報)がコチラ。
例えば「ソーシャルネットワーク」を映画館で見て、これ面白いな、Blu-ray欲しいなと思うとします。それが3ヶ月後とか4ヶ月後、街を歩いてBlu-rayが売っていたとしても、ほとんど買わないんですよね。もう忘れてるから。
そういうわけで、ガンダムUCのエピソード1では、イベント上映、有料配信、Blu-ray先行発売の3つを同時にやりました。
それで、まずやはり有料配信が物議を醸しまして、有料配信をしちゃうと映画館に人が来ないんじゃないかとずいぶん映画関係の人から言われました。でも僕は「関係無いよ」と。有料配信っていうのはネットで見るので限られたサイズの画面でしか見られないということで。ただ実は有料配信に関してもクオリティの高いものを見てもらいたいというのがありましたので、安定的なHDが見られる環境でPlayStation Network(PSN)が当時一番だったのと、ガンダムUCのターゲット層がPS3の購買層と合致したので、PSNと組んで最初はHDで独占配信しました。ちなみにここでも面白いデータが出て、HDとSDでのネット配信では、HDの購入数のほうが圧倒的に多かったです。
結果的にイベント上映、有料配信、そしてBlu-rayがどういう効果をもたらしたかというと、おかげさまで成功だったと思います。エピソード2のときは、映画館用に5000枚用意したBlu-rayが1日で売り切れてしまいましたので、エピソード3では1万枚は用意しようと思っています。公開している映画館10館でそれだけ売れて、一般市場では20万枚を超えるヒット作と考えています。先ほど言ったPSNでも非常に高い数字が出ていますので、みんなが考えてる大人の事情のウインド戦略っていったいなんだったんだろうな、というのが今の感想ですね。
※Gigazineさんより抜粋(部分)
「映画、有料放送、DVD同時販売」。
⇒すこぶる良好な販売結果が!
コロンブスの卵ではあるが、言われてみれば当然と言えば当然な結果となったわけです。
これは数値としても慶応大学の先生が発表しているデータ等もあり、まあ簡単に言うと、
1) YouTubeで無料視聴されることはDVD販売とレンタル回数を減らさない。特にDVD販売はむしろ増加させる効果があり、YouTube再生数が 1%増えるとDVD販売は0.24%増える。
2) このことは YouTubeでのファイル削除の効果からも確認できる。ファイル削除はテレビ放映中に行っても DVD売上に影響は無く、テレビ放映後に行うとDVD 売上をかえって減らす。したがって、YouTubeについてはファイル削除を行わず放置した方が著作権者の収入は増える。
3) Winnyによるファイル交換はDVD売上には影響を与えないが、レンタル回数は減らす効果がある
※経済産業研究所ウェブサイトより抜粋(部分)
という調査結果なのだが、まあデータを一読してみたが大変興味深くはある。
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大人の事情って「儲ける為の諸処の事情」だと思うのです本来。
新しいメディアであるYoutubeや、あるいは映画公開と同時にDVDを売っちゃう戦略、お金になるならどんどんやるべきだ。
それこそ、
「アニメは映画もテレビも全世界同時公開してほしい!そのとききちんと日本アニメ界にお金が儲かるように、著作権法整備をハリウッド並みに整備すべきだ!」
と叫んでいらした森田監督のコメントをインタビュー中頂戴したが、そうした部分を整備することが、弊社のように、アニメ関連事業で食わせてもらっている会社の責務だと思うのだ。
なんだか週末に重いネタだが、愛するアニメ、コミック、コンテンツ業界の為、筆をとってみた。
お時間ある方は、下記もぜひどうぞ。
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