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“超電導”発見から100年 ~研究から応用へ~
2011.02.18|shiozawa
“超伝導(ちょうでんどう)”って言葉
多くの人が耳にしたことがあると思います。
こどもの科学館などでよくショーとして行われている
液体窒素の上で磁石のようなもの(超伝導磁石)が浮く現象が有名です。
引用:YouTube
この超伝導現象。
今年が発見されてちょうど100年だそうです。
そんな節目の年2011年が“超伝導”が多くの分野に応用されるスタートの年になるかもしれません。
■超電導、発見100年目を「実用化元年」に
1911年の4月8日、オランダ・ライデン大学の物理学者カマリン・オンネス教授は液体ヘリウムを絶対温度4.2度(セ氏マイナス269度)からさらに冷やす実験中、入れていた水銀の電気抵抗が突然消えたことに気付いた。
超伝導現象の発見だった。
電気抵抗は金属に流す電気を途中で“食べる”ことで減らす厄介者。抵抗がなくなれば電気製品の消費電力を大幅に少なくできるほか、コイルに電気を流して高い磁力を発生できる。この特長を生かした磁気共鳴画像装置(MRI)が病院で普及している。超電導現象の発見から100年目の今年、日本ではMRIよりもさらに身近な用途に超電導が本格的に使われようとしている。
引用:日経新聞
話に出てきました“MRI”(病院で全身をスキャンをする装置)の写真です。
強い磁場を発生させるためにたくさんの電気が必要なのですがそれに
“超伝導”が使われています。
そして今注目されているのが“高温超電導ケーブル”です。
■ 超電導ケーブル、ついに実証実験へ
住友電工、マイナス200度突破で大きな一歩
住友電気工業が開発した高温超電導ケーブルが、日本で初めて電力網に接続される。
これは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が2007年度から実施している「高温超電導ケーブル実証プロジェクト」の一環だ。
高温超電導ケーブルは、既存の銅線の電力ケーブルに比べて、送電による電力損失を大幅に削減できるため、低炭素社会に向けた重要技術の1つとして位置づけられている。同プロジェクトでは2016年の本格導入を目指している。
引用:日経ビジネスONLINE
では現在、
“発電所で電気が作られて家に付くまでにどれだけの電気が失われているか?”
と言うと
引用:東北電力
5.7%程度のようです。
思っている以上に電気供給の効率は良くて驚きですが、超伝導を利用すれば0%にいっそう近づけることが出来ますし、変電所を減らす事が出来るのではないかと思います。
なぜなら
変電所の役割
- 送電効率のため電圧を高くする。
- 使用場所にあった使いやすい電圧にする。
- 電気を集め、必要な箇所へ分配する。
- 故障した個所の切り離しをおこない、確実に電気を送る。
引用:中部電力
“送電効率のため電圧を高くする”という点で
伝送効率が100%に近い超伝導ケーブルなら
わざわざ高電圧にして電気を供給する必要がいらないはずなので。
この超伝導ケーブル。
日本だけでなく特にアメリカが国レベルで実用化しようと取り組んでいるようです。
■海を越えた高温超電導ケーブル
現在、アメリカのエネルギー戦略では、2030年までに超電導ケーブルによる強固な送配電網を全米に構築する計画が検討されています。 建設現場はニューヨーク州の州都であるAlbany市で、ハドソン川に沿った2つの変電所を結ぶ3.2km(2マイル)のルートの途中に350mの超電導ケーブルを布設します。当社独自の製法であるCT-OPプロセスによって製作された約70kmのDI-BSCCO(革新的ビスマス系)超電導線によって、超電導ケーブルが製作され、2005年8月神戸港を出航、世界で初めて超電導ケーブルが太平洋を渡り、パナマ運河を通って、9月にAlbany市に到着しました。
引用:住友重工
以前お話にあげた“リニアモーターカー”も超伝導現象の応用ですし、
実現できるかはわからないですが
ジョセフソンコンピュータ(超伝導コンピュータ)や 超伝導電磁エンジン
といった夢のようなものが出てくるかもしれません。
この先の未来は“超伝導”がなくてはならない時代が来るかもしれません。
私はとてもたのしみです。
ありがとうございました。