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バイオ燃料はあらゆるものから取れる☆
2011.09.02|shiozawa
一時期エコな代替燃料として話題なっていました、バイオ燃料。
現在、このバイオ燃料の主流であるバイオエタノールはとうもろこしやサトウキビなどの植物(穀物)から精製されていますが
こういったガソリンに取って代わる燃料をあらゆるものから作り出す研究が今もなお世界中で行われているようです。
古新聞から自動車の燃料を作り出すバクテリアが発見される
アメリカ・ルイジアナ州のニューオリンズにあるチュレイン大学の科学者たちが、古新聞からガソリンの代替燃料となる“バイオブタノール”生み出す新種のバクテリアを発見し、古新聞を使ってその菌に関する研究を進めています。
バイオブタノールの方がガソリンの代替燃料としては扱いやすい特徴を持っています。
「TU-103」と呼ばれるバクテリアは、有機化合物のセルロースから直接バイオブタノールを生成できるとされる初めての菌種です。
バイオブタノール生成可能なバクテリアは通常有酸素状態では死滅していまうのですが、「TU-103」は有酸素状態でも活動し続けることが可能。
無酸素状態を作り出すだけでもコストがかかってしまうので、このことはバイオブタノール生成にあたって大きな進展となります。
「セルロース(※)はどの緑色植物にも含まれていて、最も成分豊富な有機化合物です。これをバイオブタノールに変換することは多くの科学者の夢なのです」と、細胞分子学のDavid Mullin教授の研究室に所属している博士研究員のHarshad Velankarさんがコメントしました。
引用:Gigazine
ほぼすべての植物から取れるセルロース。
それをエネルギーにできるという事は
“植物から作られたあらゆるゴミもエネルギーになる”。
すごく将来性を感じる研究です。
日本では水産庁が“海を生かしたバイオエタノールの生産の研究”を2008年からしているようです。
■水産庁が海藻からバイオエタノール製造技術を研究開発・5年間で技術確立へ (2008年)
穀物(農地)よりも生産できる場所が多い海藻(海中)を原料にしてバイオエタノールを量産できれば、食物と「取り合い」をすることがなくなるのではないかと期待されている。
海藻は普段食べ慣れているわかめや昆布などではなく、【「海藻からバイオエタノールを400万トン/年生産」水産振興会構想発表・2013年から実証事業開始】などで伝えているような、成長が早く燃料作成に適している海藻を使う方針。
恐らくは「ホンダワラ」などを用いるものと思われる。
<ホンダワラ>
日本の特徴を生かした研究で実に面白いです。
ただ、海草を取るのはすごく大変そうに感じますが、プラスに考えれば新しい雇用の誕生になるかもしれません。
そして海外ですが
ちょっと代わったものからバイオ燃料を精製し、実用化されている国があるようです。
■し尿から作るバイオ燃料を市バスに、ノルウェーの首都
下水はクリーンエネルギーの鍵となりうるか?ノルウェーの首都オスロ(Oslo)で2010年以降、人間のし尿から抽出したバイオ燃料を市バスで利用する計画が進んでいる。
「カーボンニュートラルな燃料だから、環境を汚染しにくい。騒音も少ないし、永遠に再生可能だ。(し尿処理の面でも環境保護の面でも)互いにメリットがある」と同プロジェクトに関わる市民の1人、オーレ・ヤコブ・ヨハンセン(Ole Jakob Johansen)さんは語る。
市バスが使用する予定のバイオ燃料は、し尿から作られるメタンで、Bekkelaget下水処理場に集まるオスロ市の人口25万人のし尿が原料となる。
トイレに行くことで、年間8リットルのディーゼル燃料に等しい燃料を1人当たりが生み出す計算。1人分だけを見るとわずかかもしれないが、25万人分が集まれば、バス80台が10万キロずつ走れる分を十分にカバーする。
しかも、ディーゼルに比べバイオメタンは(カーボンニュートラルなため)ずっと環境に優しい。さらにディーゼル燃料と比較して、呼吸器疾患の原因となる2つの物質である窒素酸化物と微粒子の排出はそれぞれ78%、98%も削減される。バスの騒音も92%抑制される。
引用:AFP BB news
“25万人分が集まれば、バス80台が10万キロずつ走れる”という数字を見て
私達は毎日エネルギーを捨てているんだなぁと強く感じる面白い燃料の生産方法です。
最後に最近のバイオ燃料で最も興味を感じたのがこちら。
■火発の排ガスで「ミドリムシ」培養 → ミドリムシから作ったバイオ燃料で発電
動物と植物の中間的性質を持つ単細胞生物「ミドリムシ」を、多量の二酸化炭素(CO2)を含む火力発電所の排ガスを使って培養することにバイオベンチャー企業「ユーグレナ」(東京都)が成功した。
同社はミドリムシからバイオ燃料を作る技術も開発中で、排ガスのCO2を減らしたうえ、代替燃料を作る新たな温暖化対策として注目されそうだ。
ミドリムシは体長約0.1ミリ、水田などにすむ。光合成によりCO2を吸収する植物の性質を持ちつつ、鞭毛(べんもう)という器官で動物のように動く。
光合成能力が高いのが特徴で、熱帯雨林の数十倍に達する。
同社は05年、沖縄県石垣市に食用可能なミドリムシの大量培養施設を世界で初めて建設。ミドリムシを素材にした健康補助食品やクッキーを製造、販売している。今年6月、沖縄電力金武(きん)火力発電所(沖縄県金武町)で、煙突から出る直前の排ガスをミドリムシの培養槽に吹き込む実験を行った。
この排ガスはCO2濃度が大気の400倍近い約15%に達する。
ガスを入れた培養液は酸性になり、大半の生物は生きられないが、ミドリムシは順調に成長した。
増殖速度は空気を通した場合の最大20倍に達した。排ガス中の豊富なCO2で光合成をし、増殖したとみられる。
小学校か中学校の授業に顕微鏡で見たミドリムシ。
将来の学校の教科書には“ミドリムシはエネルギーを生産者”としてのるのでしょうか。
じつに楽しみです。
最近は、バイオ自動車より電気自動車のほうが大きく取り上げられているように感じます。
たしかに電気自動車のエネルギー効率はガソリン車に比べて非常に効率的です。
しかし、電気の発電自体に化石燃料が使われているのに対し、バイオ燃料100%で走る自動車ならばカーボンニュートラル(※)だからCO2排出量は0%。
より長期的に環境に適したエネルギーということを考えるとバイオ燃料は思った以上に不可欠なように私は感じます。
ありがとうございます。
※ カーボンニュートラル:何かを生産したり、一連の人為的活動を行った際に、排出される二酸化炭素と吸収される二酸化炭素が同じ量である、という概念。
※セルロース:植物細胞の細胞壁および繊維の主成分で、天然の植物質の1/3を占め、地球上で最も多く存在する炭水化物