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「原発ジプシー」がヤバい件。
2011.09.27|iwamura
ということで、話題の「原発ジプシー」を買ってしまいました。
今本屋さんで平積みされているかも。
著者堀江邦夫さんが、原発下請け労働者として、全面マスクをかぶり、現場に立ち入ってレポートした本であります。
「いよいよ、あしたからですか・・・」
Nさんの自宅を出て間もなくだった。彼はひとりごとのようにポツリとそう行ったのを最後に、口をつぐんでしまった。
いつも温和な物腰の彼。その彼がなぜ今夜に限って、これほどの厳しい表情で押し黙っているのか。。。その原因が、私の明日からの「行動」にあることは、まず間違いなかった。
明日から私は、一労働者として原発の作業に従事することになっていた。
※「原発ジプシー」プロローグより抜粋
そして、プロローグのあと目次があるんですけれども、「目次」の文言がとにかくすごくて、実際ここを見て小生は本の購入を決めたようなところがあった。
・採用決定
・原発労働者の過去
・「わしらを差別するのか」
・管理ナンバー21851639
・「計画線量」の無計画性
・露骨な社員との「差別」
・突然噴き出した「放射能汚染水」
・行方不明者の軌跡
・続出する線量計の「振り切れ」
・「事故隠し」と「労災隠し」
・子どもの誕生にも不安の影
・「安全教育調査」という名の「思想調査」
・続出する故障、事故
・町中に拡散する放射性物質
・そして体内被ばくが残った
※「原発ジプシー」目次より抜粋
おいおいおい、といった、東スポも真っ青な見出しが躍るわけです。
そして、目次のちにシーベルトとかの単位の説明があり、見開きをめくると
「おいおいマジかよ」
という海水浴場&美浜原発という象徴的な写真が。
これは肝が冷えますね。
※本画像は別のブログさんからお借りしたものです。
「原発ジプシー」久しぶりに水も飲まずに、3時間ぐらいでガーっと読んでしまった。
原発に限らず、下請け労働や、人の見ていないところでの肉体労働等、理不尽な条件下でのシゴトって星の数ほどあるんだろうけれども、「体内被ばく」が残った人間を明らかに使い捨てる、という点が前提にされている事実を考えると、これほど「利権」や「資本」、「国家権力」の論理のひずみが集約された労働も他に無いだろうと感じた。
しかし、俺は今も電力を消費し毎日を生きており、そうした意味では彼らのお陰さまで生かされている側でもある。
ただ、メディアとして、「原発は安全です」「原子力はクリーンなエネルギーです」といった紹介のされ方を成されているものは多々あるが、「原発ヤバいですよ」という逆のベクトルからのリポートというものが少ないので、世のバランスを取る意味でエントリーです。両者バランスを取る意味で、読んでみる必要はある気がします。
※末筆ですが注意点として。本書はあとがきは東北大震災後に書かれておりますが、本文は30年前のものですから、現在は改善されている点が原発にもあるかもしれません。
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