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南の国から2009年秋~バカにしてた村人らが携帯の充電に訪れる
2009.10.16|iwamura
ということで、下記動画をご覧いただきましょう。2007年、カンヌ広告賞、フィルム部門の金賞の作品です。
これ、素敵な動画ですよね。みんなに認められなかった者が、認められる。ぼくの大好きな設定。ドイツの会社さんのプロモーションです。
さて、あれから2年。今度はアフリカはマラウイからこんなニュース。
(CNN) 干ばつに苦しむ東アフリカ・マラウイの貧しい村では、何もかもが不足していた。赤土の大地はひび割れ、作物の枯れた畑をただ風だけが吹き抜ける。この風を使って、村に電気を起こせれば――。そう思い立った少年が、たった1人で作業に取り掛かった。それから7年、村では少年の作った風車5台が回り、電動ポンプが水を送り出している。
材料は、ごみ捨て場から拾ってきた自転車の部品やプラスチックのパイプ、プロペラ、車のバッテリー。タービンを支えるポールには、森で採ったユーカリの木を使った。「風車を作るんだと話すと、だれもがぼくを笑った。あいつは頭がおかしいといううわさが、村中に広がった」。タービンが回り、取り付けた電球に明かりがついた時には「これでもう頭がおかしいなんて言われないと思い、ほっとした」という。
7年間で作った風車5台のうち、最も大きいものは高さ11メートル余り。村人たちは「携帯電話を充電したい」「ラジオを聴きたい」と、ウィリアム君の自宅をたびたび訪れる。
※cnn.co.jp「マラウイの少年、独力で風力発電に成功 7年かけ」より抜粋(部分略)
新しいことをすると、「頭がおかしい」って言われちゃうこと多いですよね。苦しみながら、それでも自分を信じ続け結果を出したウィリアム君に拍手!
そして、今日はやっぱり最初「頭おかしいんじゃないの?」と企画段階で言われたであろうこの商品も紹介してしまうのだ。
James Dyson氏は一風変わった製品を作ることに執着してきた。[James Dyson氏は英Dyson(ダイソン)社の創業者。1947年生まれで、紙パック不要のデュアルサイクロン掃除機の発明者として著名]
しかし、羽根のない扇風機『Air Multiplier』の梱包を解いたときは驚かずにいられなかった。基本的には、英Dyson社の掃除機を逆さまにしたような仕組みだ。グレーの土台が空気を吸い込み、上に乗っている青い輪から吐き出す。輪の前面から空気が吹き出すときに、空気の流れの周りに吸引力が発生。輪に引き込まれる空気の量も増え、扇風機のパワーを増幅する。
※WIRED VISIONより抜粋
因みにこれは商品ページ。
あったまおかしい感じですねー(笑)。
でも、上記3つ動画どれもそうなんですが、目に見えない「風」というものを、きちんと心に描いた想像力が、世に受け入れられた結果だと、ぼくは思うのです。
目に見えなくても、それは「サンタクロース」も、それこそ「愛」や「優しさ」もそう。
大事なものはすべからく目に見えないものが多い気もする。
数値や形に見えないものを、大事にすることも、考える今日にしたいと思います。
目に見えないものも、信じ続けてがんばりたいですね。
広告だけじゃない、ブランディング。
2009.10.05|iwamura
ユニクロが”BLANKEY JET CITY”の浅井健一氏とコラボしました。
サイトを見ていただければ一目瞭然ですが、今までのユニクロと比べてかなりイメージが異なっています。なんというか、ちょっとワイルドでセクシーな雰囲気があると思います。何もこれは面白いバイラルムービーを作ったりだとか、サイトを大きくリニューアルしたわけではありません。そういった広告手法ではなく、シンプルに「浅井健一とコラボする」という企画を実行したのです。
実は今までにもユニクロは、若いキャリアビジネスウーマン、ビジネスマンを対象としたブランド「セオリー」を買収しています。
セオリーの発祥地はニューヨークだそうで、そこで働く女性に受け入れられたということからも、「機能的で、美しい」というのがセオリーを言い表した言葉といえるでしょう。ちなみに、価格レンジは、スーツで5万円程度です。ユニクロに比べて、ちょっと値段が張ります。
などなど、こうすることで、私たちの中にあるユニクロの「安価なイメージ」が変わっていくのだとすれば…。ひとつの立派な「手法」だと思います。
企業がブランドのイメージを変えるとき、どうしても広告手法に頼りがちです。もちろん、ひとつの手法としてはありなのですが、広告だけに縛られるとちょっと可能性が狭くなってしまう気がします。企業のコミュニケーション上の課題を解決するのであれば、何も広告にこだわる必要はないはず。ユニクロのように、「事業」を立ち上げたっていいはずです。選択肢を広く持って、プロジェクトに臨んでいければと思います。
かわいい女のコ。~「34歳無職さん」より~
2009.09.17|iwamura
美しい景色や、公園のきんもくせいを見ることが好きです。
それと同じように、私は「かわいい女のコ」を見ることが好きです。
という観点から評価した場合、スタイリストに若干のものいいはつくかもしれないが、下記PVは秀逸と言わざるを得ないだろう。
かわいい普通の女のコがばんばんでてくる(笑)。
いや、いいですよね(笑)。ひさびさの「わかってるよな」である。
さて、「かわいい女のコ」ネタで言うと、昨今は「美人すぎるバスガイドさん」のニュースも胸躍るものがあったが、しかしなんと言っても小生が一番胸に響いたのは、「34歳無職さん」であろう。
34歳無職さん。
サンマが安かったけど大根も買わなくちゃだからあんまり意味ないのよね。
34歳無職さん。
余分におろすとつい無駄遣いしちゃうから注意。
34歳無職さん。
ヴィトンとかプラダとかいらないから最後まで使い切れる百円ボールペンが欲しい。
34歳無職さん。
長いこと生きてれば外へは着ていけない服の一つや二つ持ってるけどね。
34歳無職さん。
もどりてーすっげーもどりてー。※このあと35歳になってゆく無職さんの結末はこちら。結構「よい」。
ウェブで火がついて1夜にしてソーシャルブックマーク数も1000を超えたが、ハートウォーミングでしみじみと良かったのだ。
そうなのだ。小さいことをがんばって、そうじゃない日もあっても、ちゃんと笑顔を大事にするひとは、34歳だろうが、80歳だろうが、みんなみんな「かわいい女のコ」であるのだよな。
と、いうことで、仲間の「かわいい女のコ」がウェブでお店を出しました。ワインのお店です。
ワイン好きが高じて、外資の代理店やら、黒い泡がうまいビールの販売会社、外資タバコ会社といった高給キャリアを蹴っ飛ばし、単身オーストラリアへ渡り、むこうのワイナリーでがっちり1年くらい働いてきたガンバルマンです(単なるワイン馬鹿という説もあり)。
「今の夢は何だ?」と聞いたら、
「ぶどう畑で、はだしでドレス着て、結婚式やってみたいな☆」
だって(笑)。
そんな彼女のウェブショップはこちら。
どんなワインが好みなのか、メールしても丁寧に答えてくれると思いますから、みなさんもぜひ。
鶏が先?卵が先?
2009.09.14|iwamura
たとえば、まだお付き合いしていない異性とのデートをプランニングする時、どんなことを考えるでしょうか?おそらく、普通の人なら、「思いっきり楽しんで、喜んでもらいたい」と思うのではないでしょうか?そこから、相手は「どんな場所が好きだろう?」「好みの料理は?」「欲しい物は何だろう?」といろいろ悩んで、デートプランを組み立てると思います。
(自分の思っていることが、相手に喜んでもらえるのかどうか?ドキドキな瞬間って結構楽しくないですか?)
決して、「あのお店を使うとポイントが貯まるから、そのためにあの人を誘おう」とは思わないはずです。カタイ言葉を使うと、目的があって、手段を考える。順番が逆になると、うまくいかないことが多くなるのではないでしょうか?
少し強引なこじつけになってしまいますが、現在の広告業界も同じような問題を抱えています。ターゲットの気持ちを動かすには、どうすればいいか。本来なら、そこからコミュニケーションのプランニングを始めたほうが、効果的な気がします。街角で名物店員がアピールするのがいいの?芸能人にブログで語ってもらうのがいいの?残業帰りの自宅のメールボックスに届くのがいいの?とか。目的があって、手段がある。
ちょっと例を見てみましょう。
街角の例は、コチラ。
街行く人に「あっ!」と思わせるためには?
↓
足を止めて見てみたくなるコンテンツを配置する。
↓
それが、名物店員。
ほかには、芸能人のブログ。
信憑性がなかなか得られないサプリ。女性との距離を縮めるには?
↓
影響力の高い有名人に、オススメしてもらう。
↓
辻希美さんのブログでご紹介。
(この手法の是非に関しては、様々な議論があります)
以上のように、目的があって手段があるのなら、効果的なプロモーションにつながるのかもしれません。ただ、広告代理店各社はその「手段」を抱え込んでしまっているがために、「手段」をなんとしても使わないと利益が出ない。言いかえると、抱え込むためのコストを支払っているので、放置していれば赤字になるのです。だから、プランニングの現場では、上記の「目的」と「手段」の逆転現象が起こっているのです。利益率の高いテレビの広告枠を買わせるには、どうプランを組もうか?とか。デートに置き換えると、「ポイントを貯めたいお店に誘うために、どんなデートコースを組もうか?」と同じことだと思います。
その結果、多くの広告マンが「自分って、何のために仕事をしているのだろう?」と思うようになります。広告に興味があって入った方は、多くが人の気持ちを動かしたいと思っているはずですから。ただ、広告代理店、いやイチ企業として収益は確保していかなければなりません。その答えが、作業量で支払額を決めるフィー制なのか、それとも売り上げの上がった分に応じて支払われる成果報酬なのかは、わかりません。
ただ、一つの指標として、どうすればプロジェクトにかかわる人(広告主、広告代理店、そして生活者)が気持ち良くいわれるか、というのもありだと思います。個人的な見解で言うと、ある程度まではフィー、それ以上は成果報酬というのが自分のモチベーションアップにもつながりますし、広告主側を巻き込んでいきやすいような気がします。
好きな人をデートで楽しませるような、ワクワクするプランニング。そういう気持ちでプロジェクトに取り組むためには、どうすればいいのか。ぜひ、これからの課題として考え続けていきたいと思います。
丸投げは、やめよう。
2009.09.07|iwamura
「じゃ、●●さん(広告代理店)。今回は予算●●億円を御社に託しますので、プロモーションを全部お任せします。」 by 宣伝部
これが、今までの日本の広告業界における”多くの”慣習でした。広告主は広告代理店に宣伝予算を預け、プロモーションをすべて丸投げしていたのが現状です。
メリットとしては、広告主側の作業コスト削減が挙げられます。プロモーションにおける調査、企画、実施をすべて広告代理店にお任せしますから。言ってみれば、このメリットがあるから、ずっと今までこのような慣習でやってきたとも言えます。広告代理店側としても、安定的に収益を確保することができます。
逆にデメリットは何か?ひとつ挙げるとするなら、目標設定力が身に付かないことでしょう。プロモーションの目的を定めることができないため、広告代理店はどのようなアイデアを出していいのかわからない。その結果、代理店のチカラを充分に引き出すことができなくなり、効果的なプロモーションが難しくなってしまう。
良い「目標」がなければ、良い「アイデア」は生まれないのです。
広告代理店に丸投げしていない広告主例として、日本コカ・コーラ株式会社があります。最近発売されたこころを動かすマーケティング―コカ・コーラのブランド価値はこうしてつくられるを読んだことがありますが、商品のプロモーションを企画する際には、「どんな人に飲んでもらいたいのか」「どんな状況で飲んでもらいたいのか」「飲んで、どんな気持ちになってもらいたいのか」など、プロモーションの方向性をすべて自社で固めるそうです。その結果、広告代理店もクリエイティブジャンプしたアイデアが出てきたのではないでしょうか。
反対に、うまくいかなかった例。具体的な社名をお出しすることはできませんが、関係者から聞いた話ではこんなことがあったそうです。とある老舗の食品メーカー様。広告代理店側が「どんなターゲットを、どんな気持ちにさせたいのか教えてください」と宣伝部長に聞いたところ、白紙のオリエン・ブリーフ(プロモーションの方向性を書いた書類)が返ってきたそうです。今まで自社で考えたことがなかったから、戦略を立てられないとのこと。
でも、広告代理店としては、企画を持っていかないわけにはいきません。ただ、代理店内でブレストをしようにも、どうすればゴールなのかわからない。そのため、アイデア会議が活発にならなかったと聞きました。ちなみに、その企業は昔から代理店にプロモーションを丸投げしてたそうです。
代理店に丸投げしてしまうと、その場では作業も減って楽かもしれないですが、ゆくゆくを考えるとノウハウが蓄積されない。長い目で見るなら、ぜひ丸投げしないことをオススメします。