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カキがクロダイに食べられる…頭抱える漁業関係者
2009.03.12|umiushi
因果応報、というと語弊がありますが、その昔
養殖のカキやホタテが、ヒトデに食い荒らされる
→関係者トサカに来て、網に入ったヒトデを引き裂いて捨てる(グロい・・・)
→ヒトデ、驚異的な再生能力で「引き裂かれたそれぞれのパーツが」完全に再生する
→結果、ヒトデの数が数倍になる。食害も数倍。
などという、冗談のような事件がありました。
しかしこちらも、ヒトの行いが巡りめぐってきたというお話。
カキがクロダイに食べられる…頭抱える漁業関係者
カキの生産量日本一を誇る広島県で、クロダイによるカキの食害が絶えない。漁獲量を増やすためにクロダイの稚魚が放流されたことが原因の一つとみられる。 県は平成16年からクロダイの放流を中止。広島市も今年から中止を発表しているが、漁業関係者は「すぐにクロダイが減るわけでなく、被害もなくならない」 と頭を悩ませている。
広島県では、カキの養殖の多くが「筏(いかだ)式垂下法」を採用。イカダから海中に垂らしたワイヤにカキの幼生が付着するようにし、イカダ1床につき、順調なら20万個ほどが育つ。
一方、クロダイは昭和35年に240トンあった漁獲量が40年代末期には20トン前後に減少した。このため昭和50年代から県や広島市が稚魚の放流を始め、現在は漁獲量が毎年100トン前後にまで回復した。
しかしクロダイが主食としている外殻のやわらかいムラサキガイが近年激減。広島大生物生産学部の海野徹也助教授は「エサが減ったため、まだ殻が形成できておらず、やわらかいカキの幼生を狙うようになった」と分析している。同県江田島市の各漁協によると、クロダイによる食害がひどくなったのは約10年前から。「ワイヤ1本分の幼生が丸ごと食べられたりする」。同県廿日市市 の大野漁協でも通常1床で約2・5トンとれるところが、1トンほどしかとれないケースもあり、「全体の被害は見当もつかない」という。
各漁協では、ワイヤにネットを張るなどして内側までクロダイが入ってこられないようにするなどして対処している。が、すべてを防げるわけではなく、有効策はみつかっていない。
どっちもおいしそう
うーむ、カキとクロダイのどちらが儲かるのかにもよると思うのですが、それにしても因果な話です。
と、紹介するだけでは無責任なので、水産の素人ながら思うに
しかしクロダイが主食としている外殻のやわらかいムラサキガイが近年激減。広島大生物生産学部の海野徹也助教授は「エサが減ったため、まだ殻が形成できておらず、やわらかいカキの幼生を狙うようになった」と分析している。
この辺がキモではないかと。
ムラサキイガイ、いわゆるムール貝ですが、
これ世界でも問題になってる外来種なわけですよ。
アホみたいに増えまくるので、移入した先々で岩場を占有しちゃって、他の貝なり何なりが生息できなくなる、と。陸上で言うとセイヨウタンポポとかアメリカザリガニみたいな立ち位置でしょうか。
増えすぎな人たち
だからあえて、ここでムラサキイガイを投入してしまうのです。すると
→クロダイはイガイを食べる
→その隙にカキは成長する
→結果的にはクロダイもカキも漁獲高が上がる
「山火事をダイナマイトの爆風で消す」なんて方法もあるんだから、ダメかなあ。
ダメだろうな。
何でムラサキイガイが減ったか、っていう問題を無視してるし。
世の中って難しいですね。
トキ放鳥!→新種ですそのエサ
2009.03.03|umiushi
禍福はあざなえる縄の如し、というか、
人生万事塞翁が馬、というか、
風が吹けば桶屋が儲かる、というか、
とにかく形容のしにくいニュースです。
新種のカエル 放鳥トキが食べていた
国の特別天然記念物のトキ10羽が放鳥された新潟県佐渡市で、新種の可能性の高いカエルが発見された。本州以南に分布するツチガエルに似ているが、腹部が 黄色で鳴き声も全く異なるため、佐渡の固有種とみられる。放鳥トキの大切な餌になっている。脊椎(せきつい)動物の新種が国内で発見されることは珍し い。(田中幸美)
(産経新聞)
日本のトキが絶滅して久しいですが、中国のトキをもらってきて子供を生ませ、それを放して「根付くかな?」という期待を抱かせる時分にこのニュース。
カエルは空飛べない分(当たり前ですが)、島からでることもできず、したがって佐渡で独自の進化を遂げたこの種は貴重なわけです。トキとどっちをとるかという二択を迫られるような事態には陥っていないですが、それにしてももどかしい。
だいたい、トキの減ったのだって、肉をとったり害鳥だからって駆除したりとニンゲンの都合ですからね。
しかもwikipediaによると
トキを特異的に宿主としているダニにトキウモウダニがおり、日本におけるトキの野生絶滅とともに、環境省版レッドリストにて野生絶滅と評価された[4]。このダニも宿主同様1属1種であり、科のレベルで独立した種であるという説もある。なお、このダニは吸血性ではなく羽毛くずを餌とするようである[4]。
だそうです。うーむ、日本産トキどころかダニまで絶滅してしまったか。ダニなんていいじゃん、などと言ってはいけません。それは立派なダニ差別です。
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トキの学名がNipponia nippon だから、よけいに日本代表みたいな扱い受けてます。
しかし中には、日本産の標本で種を決めた(記載された)のに、手違いでRabdophis tigurinus なんて「チグリス川の」って名前つけられちゃった不遇の動物もいます。
まあ、
ヤマカガシ
なんですけど・・・ダニもですけど、こういういわゆる「蟲」になると扱いがテキトーなのが納得いかんですな。
でっかいことはいいことだ
2009.03.01|umiushi
完全に一発ネタですが、あまりに笑えたのでご紹介。
淡水性のエイだそうで
今週行われた最新報告によると、タイで記録的な巨大淡水エイが釣り上げられたという。おそらく史上最大と考えられ、捕獲を行った漁師と研究者により川に戻された。
この巨大淡水エイはヒマンチュラ・チャオプラヤ(学名:Himantura chaophraya)と呼ばれる種で、2009年1月28日、ナショナル ジオグラフィック協会が後援する探検調査プロジェクトの中で釣り上げられた。体重は250~450キロと推測されている。
大きさは幅が2メートル、長さが2.1メートルあったが、尾は失われていた。ネバダ大学リノ校の生物学者ゼブ・ホーガン氏は、「尾が残っていれば、全長は4.5~5メートルあっただろう」と推測する。
うーん、ちきゅうってすごい。そして漁師と研究者やさしい。インディアンうそつかない。
日本の未来が見える村/長野県下條村、出生率「2.04」の必然
2009.02.17|iwamura
村の入り口には、もちろん「この村から出身!峰竜太の村!」という看板もあったりしちゃうんですが(笑)。
そんな長野県下條村が、日本でも奇跡の「出生率2.04(国は1.34)」を叩き出し、全国トップというエントリーを発見していたのだ。
これは、ご報告しなくてはなりますまい。
長野県南部、天竜川の畔に広がる下條村。出生率を向上させたことで全国的に知られる村である。国の合計特殊出生率は1.34。それに対して、下條村の出生率は2003~06年の平均で2.04人に上る。1993~97年の平均1.80人から0.24人改善させた。この出生率は長野県下でも随一だ。さらに、村の人口4176人のうち0~14歳が710人を占める。人口比17%。この数字も県下一という。
村には、子供たちの声がこだましている。
この下條村の奇跡に触れようと、全国各地から視察に訪れる。この3年間で250以上の視察団が来た。役所の通常業務に差し支えるため、週1回に視察を制限しているほど。
なぜ出生率が増えたのか――。多くの視察団はそれを知ろうと、この辺鄙な田舎にやってくる。だが、その理由は驚くほど単純だ。村独自の子育て支援を充実させたこと。この一事に尽きる。
例えば、村営の集合住宅を見てみよう。一部屋は約60平方メートル。2LDKの間取りだが、2台分の駐車場がついて月3万6000円である。このリーズナブルな価格に引かれて、若い夫婦が数多く移り住んできた。
下條村の子育て支援は安価な村営住宅だけではない。
この村では中学3年生までは子供の医療費がかからない。さらに、この2年で村営保育園の保育料を20%値下げした。子供向けの書籍を中心に6万8000冊の蔵書がある村営図書館も村の中心部にある。最近では、より広い住居を求める夫婦のために戸建て分譲も始めた。
一時、4000人を割り込んだ村の人口も4200人近くまで増加した。若者夫婦が下條村に移住してしまうため、飯田市をはじめ周辺の市町村からはやっかみの声も漏れる。それもこれも、子供を持つ家族が暮らしやすい村作りに取り組んだ成果である。
出生率を上げるには若い夫婦を呼び寄せればいい。そして、彼らが安心して子供を育てられる環境を提供すればいい。下條村が示しているのは簡単な事実だ。
※日経ビジネスON LINEより抜粋(部分略)
なにやってんだよ(松岡修造ふうに)!!飯田市(iwamura出身city)!!
しかし、そうなのだ。
「若い人が安心して子供を育てられる環境を。」
これにつきる。
オリンピックもいいが、石原都知事。このへん、本気で取り組んでみていただきたいと、切に祈ります。
※未婚30歳/東京在住iwamuraより
「崖の上のポニョ」のモチベーション/宮崎駿監督インタビュー
2008.12.01|iwamura
宮崎駿監督のインタビュー記事があったのですが、「仙人」みたいにスゴイです。映画の話あんまりない。
でもちょっとまとめてみました。
☆『風の谷のナウシカ』『もののけ姫』などのアニメーション映画を手掛けた宮崎駿監督が11月20日、東京・有楽町の日本外国特派員協会に登場し、講演を行った。
私たちが作った『(崖の上の)ポニョ』という作品は、実際にスタッフに子どもが生まれて、その子どもを見ているうちに、「この子が最初に見る映画として作ろう」ということで、それを自分たちのモチベーションにして作りました。
今、私たちの社会は潜在的な不安に満ちています。それから、子どもをどういう風に育てたらいいのかということについても大き な不安を持っています。
それで映画を作りながら、私たちはジブリで働いている人間のための保育園を作ってしまったのです。
この国に立ち込めている不安や将来に対する悲観的な考え方は、実は子どもたちには全く関係ないことなのです。つまり、この国が一番やらないといけないこと は、この子どもたちのための環境を整えること。ナショナリズムからも解放されて、もっと子どもたちの能力を信じて、その力を引き出す努力を日本が内部 需要の拡大のためにやれば、この国は大した国になると信じてます。
「自分の子供をつくらないと、本当にいい映画は創れないのだ」という意味のことを、この本でも宮崎監督は言っていた気がします。
「自分の子供をモチベーションに、未来に向かって仕事をする」ということについて、考えさせられます。
以下、外国特派員のみなさんとの質疑応答。
――私はイングランドの田舎に実家があります。近所は農家で、子どもたちは昼間牛や羊の面倒をみるなどの仕事をしているが、夜にはあなた の映画を見る。彼らは現実世界とバーチャル世界を区別してないように思えるのですが、あなたは現実世界とバーチャル世界の違いについてどうお考えですか?
この国ではバランスが崩れているのです。バーチャルなものに取り囲まれているわけなんですね。その環境を変えるために、内部需 要の拡大を図るべきだと私は思っています。
自分で火をおこして、燃やし続けて消すこ とができる、水の性質を理解している、木に登れる、縄でものをくくれる、針と糸を使える、ナイフを使える。これだけは国が責任をもって子どもたちに字を教 える前に教えなければいけないと思っています。
――先ほどの講演で「子どもたちをナショナリズムから解放したい」とおっしゃいましたが、今後は地域社会に根ざした映画を作るつもりか、グローバルな映画を作るつもりかどちらですか?
「世界の問題は多民族にある」という考え方が根幹にあると思っています。ですから少なくとも自分たちは、悪人をやっつければ世界が平和になるという映画は作りません。
「あらゆる問題は自分の内面や自分の属する社会や家族の中にもある」ということをいつも踏まえて映画を作らなければいけないと思っています。
――宮崎さんの映画には、環境問題について示唆する場面が多く登場しているように思えます。宮崎さんは日本の環境問題の現状について楽観的ですか、悲観的ですか?
ものすごく悲観的ですね。(環境問題については)とことんひどくなるまで学ばないだろうと思います。
この国は生産するよりも、消費する方が多い国なんです。食料の自給率が低 いとか、自分が着ている下着が全部中国製であるとか、そういうことがこの国の不安の根幹にあるんだと私は思っています。
その構造を劇的に変えることは不可能ですから、個人的には、自分と自分の周辺に関しては最大限の努力をしていくつもり です。
――第二次世界大戦後の日本の歴史の中で、一番懐かしさを感じる時期があれば教えてください。もしなければ、日本の歴史の中でどの時期に懐かしさを感じますか?
ずいぶん私は探していたのです。いつが一番良かったのか。どこで止まればよかったのか。
「いったいどこに止まれば良かったのか」というのは、これはずいぶん探しましたが、結局「楽園というものは自分の幼年時代にしかない、幼年時代の記憶の中 にだけあるんだ」ということが分かりました。親の庇護(ひご)を受け、多くの問題を知らないわずか数年の間だけれども、その時期だけが楽園になると思うよ うになるのではないでしょうか。
「『楽園』と呼べる美しい時代に、子どもたちがいる間に。
当たり前に必要な生きる術と、自分たちの中にもある問題について、映画を使って語ってゆく。」
。。。やはり、宮崎駿監督、唸らされます。
インタビュー詳細はこちらでまとめて公開されております。お時間あればぜひ。