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地中深くのマントルに膨大な水か☆
2014.03.14|shiozawa
地球は表面の約70%が水に覆われた「水の惑星」です。
さらに地球表面にある水の97%までが海水なのですが、
その海水よりもたくさんの“水”が地中の奥深くにあるかもしれないようです。
■マントル内部の水の存在を示唆する”リングウッダイト”を地球上で初めて発見 (2014.3.13)
カナダ・アルバータ大学のGraham Pearson氏らはこのたび、地球内部に水が存在している可能性を強く示す「リングウッダイト」という鉱物を、地球上で初めて発見したと発表しました。この成果は、科学誌Natureに掲載されています。
<リングウッダイトを含んだブラウンダイヤモンドの岩石。(アルバータ大学ウェブサイトより)>
近年の研究により、地球内部のマントル層は、「上部マントル」と「下部マントル」の二層構造になっていることが知られており、地下400〜700kmには両者の境界面となる「マントル遷移層」が広がっているとされています。
このマントル遷移層の構成成分として考えられているのが、リングウッダイトと呼ばれる岩石です。
この岩石は、1969年に隕石の中から初めて発見(Nature)されたものですが、惑星の形成過程に関するシミュレーションや地質学的な研究から、近年ではどうやら地球の内部にも存在しているらしいということが明らかになっています。
この岩石の大きな特徴として水を豊富(自重の1.5パーセント程度)に含むことが可能ということがあり、これが地球内部に存在していることが証明できれば、地中深くに大量の水が存在していることを示す手がかりになります。しかし、これまでリングウッダイトは地球上では発見されていませんでした。
今回研究グループは、ブラジル・マットグロッソ州のジュイナ地域に流れる川で2008年に採取されていたブラウンダイヤモンドのサンプルを、ラマン分光やX
線回折といった手法を用いて数年がかりで分析。
その結果、このダイヤモンド中にはリングウッダイトの成分がわずかに含まれていることが確認できたとしています。
引用:ガジェット速報
シミュレーションや地質学的な研究から、近年ではどうやら地球の内部にも存在しているらしいということが明らかに ?
人間にはとても到達できない地中400〜700kmにあるであろう未確認の岩石の存在が予測た上で、今回の的中。
それにしても超高圧・超高温の地中で水が石に閉じ込められてしまうとは、なんとも不思議。
ただ、今回のリングウッダイトのような実物ではありませんが、存在を高めるようなものは以前から色々と発見されていたようです。
■地球内部の水の貯蔵庫が10億年以上存在し続けていた証拠を発見
地球内部のマントル遷移層に、10 億年以上もの長い期間にわたって水が安定に貯蔵されていた証拠を、世界で初めて明らかにしました。
マントル遷移層補足 1は地球内部の上部マントルと下部マントルの境界部に位置し、深さ約 410 km から 660 km の間に存在しています。
マントル遷移層が地球内部における重要な水の貯蔵庫となっている可能性については 20 年以上前から予測され、また実際に水を含んだマントル遷移層が全球規模で局所的に存在していることが分かっていましたが、どのくらいの期間、水の貯蔵庫として存在し続けているのかについては明らかにされていませんでした。
今回、我々は、特にたくさんの水が存在することが推定されている中国北東部下のマントル遷移層に着目し、直上の火山岩の化学組成について、詳細な解析を行いました。
その結果、10 億年以上前の原生代に沈み込んだ海洋プレートからマントル遷移層に水が供給され、そしてそれ以降、このマントル遷移層が水の貯蔵庫として安定に存在し続けていた証拠を見出しました。
引用:東北大学
地中の地層とその地層の違いとその水含有率の違いがよくわかるのがこちら。
■「巨大な水の貯蔵庫」マントル遷移層
岩石は圧力や温度に応じた相転移をする。
ウォズレアイトやリングウッダイトが存在しているマントル遷移層では、上部マントルや下部マントルに比べてはるかに多くの水を蓄えることができる
「マントル遷移層を構成する鉱物であるウォズレアイトやリングウッダイトは、大量に水を含むことができることがわかりました。もしこの地下の『水の貯蔵庫』を満杯にすると、実に海水の10倍もの水を含むことができる」と大谷さんはいいます。この貯蔵庫に実際にはどれくらい水が含まれているのかについてもこの研究によって判明しつつあります。また、どうやらマントル遷移層における水の分布が不均一らしいということもわかりました。スラブの近くには水が多く、離れると水が少なくなるのです。マントル遷移層でとどまったスラブでは、温度の上昇で脱水反応が起こります。これにより、スラブ付近の上部マントルの最下部に「重いマグマ」ができる可能性があることもわかりました。引用:最前線の声
空にはまだ見たことのない無限の世界が広がっています。
同様に、足元にある地中にはまだ誰も見たことのない未開の世界が広がっていることを教えてくれる発見でした。
まだこれからも誰もが想像しえない世界の発見があることを楽しみにしています。
ありがとうございます。
小さな太陽作り、一歩前進☆
2014.02.28|shiozawa
太陽☆
なくなってしまったら地球上のすべての生物が滅亡してしまうほど、たくさんのエネルギーを遠くから降り注いでくれる大切なものですが
小さな太陽を作る研究は結構むかしから行われています。
それが“核融合”の研究です。
その核融合の研究で少し進展がありましたのでご紹介☆
■核融合に向けて一歩前進 2014.2.26 WED
ローレンス・リバモア国立研究所の物理学者たちが、核融合を引き起こすために燃料によって吸収されたエネルギーよりも大きな融合エネルギーをつくり出すことに成功した。
最終目標は極めて野心的だ。そして誰もそれを隠さない。
いわゆる自律的核融合に到達することだ。
太陽やすべての恒星の中で起きているエネルギー生成のプロセスだ。
2つ以上の原子核が近づいて互いに結合し、より重い1つの原子核を形成して、エネルギーを放出する。
しかし、2つの原子核を一緒にするには、陽子を遠ざけておこうとする電磁反発を上回る非常に高い圧力に到達する必要がある。地球上で、恒星と比べてずっと低い温度でこのメカニズムを引き起こすことは至難の技であるため、この課題は何十年も科学者たちを専心させてきた。
これに成功することは、ほとんど無限のエネルギー源を得ることを意味するだろう(核融合に用いられる燃料は、重水素と三重水素の混合物で、簡単に入手できる)。
そしてクリーンだ。というのも、核分裂と違って核融合は放射性廃棄物を生み出さないからだ。
アメリカのサンフランシスコ近郊にあるローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)の研究者たちは「Nature」で、最終目標に向けて重要な一歩を達成したことを語っている。要約すると、オマー・ハリケーン率いる科学者たちは、反応を引き起こすために燃料によって吸収されたよりも多くの核融合エネルギーを解き放つことに成功した。
いい換えると、彼らは世界で初めて1を超えるエネルギーの利得を測定した。
確かに点火(核融合のエネルギーが重水素と三重水素の原子核を閉じ込めるために使われるエネルギーよりも大きくなるプロセス)について話すことはまだできない。しかしそれでも画期的な結果だ。引用:Wired.jp
ということで、太陽が強い光や熱という形で膨大なエネルギーを宇宙にまき散らしまくっているのは、核融合反応によるものだということです。
でも、はて、、、核融合って何?ということで超簡単に説明するとこんな感じ
書いて字のごとく、
二つの物質(核)がくっついて(融合)して核融合☆
核融合とは軽い原子核どうしがくっついて、より重い原子核に変わることをいいます。
<核融合>
くっついたときにとても大きなエネルギーが出ます。太陽も核融合で燃えています。
核融合研究は、地球に小さな太陽をつくって、このミニ太陽からでるエネルギーを利用して電気を起こすことを目指しています。
引用:核融合科学研究所
そう、太陽のように何にもしなくても、自分のエネルギーでどんどん反応してエネルギーを作り続ける事ができれば、エネルギー問題は亡くなるはずです。
しかも太陽は水素(H)と水素が核融合してヘリウム(He)になるわけですが、地球にも水素はたくさんあるわけです。
水(H2O)は水素と酸素の化合物ですし。
しかも、核分裂と違って放射性物質はでない☆
なんせ、一番軽い水素とヘリウム。
放射性物質は水素やヘリウムと比べたらとても重たい物質ばかりですし。
では核分裂は?
ということで
<核分裂>
と言うことで書いて絵のごとく
物質(核)が分裂して核分裂☆
分裂するということは大きなものが二つになるということで、当然軽い2つになるわけです。
そして、その時に大きなエネルギーが発生します。
今色々と問題になっている原子炉発電はこの核分裂によって水を蒸発させて電気を発電しているわけです。
つまり、分裂させてエネルギーがほしい!というわけで
とても分裂しやすい物質として放射性物質を使うわけです。
わざわざ不安定なものを使っているわけです。
話が戻りまして、放射性物質を発生させないで膨大なエネルギーを生み出せる“核融合”。
日本の研究開発はどうかというと、
■核融合実験設備(超電導型)、組み立てはじまる 2013年1月28日
日本原子力研究開発機構は那珂核融合研究所(茨城県那珂市)に設置する超電導型核融合実験設備(JT-60SA)の組み立て開始に合わせて現場を公開した。
JT-60SAは、地上に太陽を作り将来のエネルギー源として利用を試みる核融合炉の研究において、超高温プラズマを安定的に保持する研究などを行う実験設備。
研究の成果は、日欧米などが共同で取り組む国際熱核融合実験炉(ITER)とともに、核融合原型炉の実現に寄与する。
JT-60SAは、ITERの設計や核融合研究の発展に大きく貢献し2008年に引退した臨界プラズマ試験装置(JT-60)の後継で、超電導化することでより長時間、超高温のプラズマを保持できるようになるという。(写真はすべて茨城県那珂市)
引用:電気新聞
バリバリ研究しているようです。
早く日本に“小さな太陽”が誕生すれば、ごたごたしたエネルギー問題も一発解決。
非常に挑戦的で難解な研究ですが、応援しております。
ありがとうございます。
世界初。ウナギの完全養殖に成功☆
2014.02.14|shiozawa
日本人いとってはなじみの深い”うなぎ“。
私ごとですが、ふと思い出して“かば焼き”がどうしても食べたくなる時があります。
そんなウナギですが、
日本ウナギが減少しており、いずれは口にすることができなくなってしまうといった噂が実しやかに囁かれるようになりました。
実際のところ、稚魚の漁獲量もかなり落ち込んでしまっています。
かなり絶望的なグラフ。
いかに急激に減少しているかがよくわかります。
■ニホンウナギ、絶滅危惧種に指定か?
水産庁によると、シラスウナギ(稚魚)の今季(2012年12月~13年4月)の漁獲量はわずか5.2トンと過去最低となり、中国などからの輸入7.4トンを加えても、2013年のシラスウナギの池入れ量(養殖池に入れられた量)は前年に比べて21%減の12.6トンにとどまった。
養殖業者が仕入れるシラスウナギの1キロあたりの価格は、12年が215万円で、前年の2.5倍に急騰。13年は260万~270万円とさらに高値になっている。
引用:J Cast
いかんせん、“ウナギの生態”は昔から謎で、つい最近まで解明されておりませんでした。
どこからやってきてどこで産卵し、成長するのか。
産卵場所が発見されてからまだ10年もたっておりません。
東京大学 大気海洋研究所
塚本勝巳 教授まず、1991年には、フィリピン海の中央部の比較的表層域(0〜400m)で10㎜前後の小型レプトセファルスを約1000尾採集するのに成功した。
2005年には、西マリアナ海嶺のスルガ海山西方の海域(水深200m)で、孵化後2日目のプレレプトセファルスを約400尾採集。
2008年には、水産庁との共同プロジェクトとしてトロール船「開洋丸」が加わり、はじめて親ウナギ5匹の採集に成功した。
<ニホンウナギの卵>
「残る卵については、2009年に31個を世界ではじめて採集でき、今年6〜7月には、さらに147個を採集することに成功しました」と塚本教授。
そうなんです。
日本ウナギの産卵場所は日本からはるか離れたグアム付近の深海とのこと。
つい最近まで見つからなかったのには納得です。
わざわざそんな遠くにまで産卵しに行くという不思議。
自然には謎が多いことを痛感です。
そんなウナギですが、とうとう最近”完全養殖に成功“したそうです。
■affラボ 世界初 「ウナギの完全養殖」に成功
長年に渡って研究が続けられていた「ウナギの完全養殖」の悲願がついに達成されました。
(独)水産総合研究センターで、人工授精により生まれ育ったウナギの2世が誕生、現在も順調に生育しています。
<ビーカーに入った受精卵をふ化水槽に移す。飼育室はウナギの仔魚が生息する深海の環境に近づけるため、普段は真っ暗だが餌を与えるときや作業をするときには、青い光をつける>
<ふ化後9日目の仔魚、体長は7.5mmに成長>
待ち望まれていた成果
(独)水産総合研究センター(以下、水研センター)は4月上旬「実験室で生まれ成長したウナギのオスとメスから精子と卵を採取し、人工授精を行った受精卵から、2世代目となる※仔魚(しぎょ)をふ化した」
と、発表しました。
この「ウナギの完全養殖」の成功は、世界初の快挙です。
ウナギは古くから日本の食文化に浸透している魚です。
ところが近年では、養殖用の稚魚(シラスウナギ)の捕獲量が世界的に減少しており、ウナギ養殖に必要な量を供給できないという事態も起こりました。
こうした状況から、人工的に稚魚を生産する技術の開発と確立は、不安定な天然資源に頼らずにウナギの養殖を実現する方法として、養殖関係者も長い間待ち望んでいたことでした。
引用:農林水産省
これはウナギ好きの私としても非常にうれしいことです。
今回成功した“完全養殖化”を商業レベルにまで昇華させ、市場に安定供給できる
ようになる事を願っています。
本当は、天然のウナギが自然に増加し、絶滅危惧種に指定されない事を一番望んでおりますが、
天然の日本ウナギはすこしだけ背伸びすれば食べられる程度の存在でいてほしいと切に願います。
ありがとうございました。
さまざまなアプローチからの“人工光合成”☆
2014.01.24|shiozawa
太陽光発電の効率は普及している製品の場合、10%~20%程度といわれています。
世界最高効率としては、“38%”
2013年1月の時点で、太陽光発電の変換効率の世界記録を持っているのはシャープだ。 ( 2013年01月11日)
シャープは2012年12月に、変換効率37.7%の太陽電池の開発に成功したと発表している。
これはまだ研究開発段階のものであり、サイズもおよそ1cm四方とかなり小さい。
引用:Smart Japan
それに対して、植物の光合成は85%を超えるといわれています。
そこで、“人工的な光合成ができないだろうか”ということで多くの研究者が日々研究をしているようです。
そこで今回、“人工光合成”の最新情報をご紹介。
■東工大と豊田中研、光を捕集する「人工の葉」を開発。植物の光合成に匹敵する人工光合成にめど
東京工業大学理工学研究科の石谷治教授と豊田中央研究所の稲垣伸二シニアフェローの共同研究チームが、2段階のエネルギー移動で光を効率よく捕集する分子システムを初めて開発した。
太陽エネルギーを高効率で化学エネルギーに変換する植物の光合成に匹敵する人工光合成の実現につながる成果。Chemical Science に論文が掲載される。
多くの有機基(ビフェリル)が導入された壁で構成された多孔質材料に、直鎖状の5核レニウム錯体の中心にルテニウム錯体が結合した分子が固定されている。
400個を越える有機分子が吸収した光エネルギーを、まず5つのレニウム錯体が集め、最終的に一つのルテニウム錯体に集約する光を吸収する有機分子を多量かつ規則正しく配置した壁で構成される多孔質材料のメソポーラス有機シリカ(PMO)に金属錯体を導入することにより、400個を超える有機分子が吸収した光エネルギーを集めた。
まず5つの金属錯体が集め、最終的に一つの分子に集約することができた。
引用:SJNニュース
ちょっと難しい内容ですが、太陽光には幅広い波長がありますので、一度それぞれの波長を得意とする数種類の物質に光エネルギーを吸収させて
おいて、次にその吸収させた数種類の物質から一つの物質にエネルギーを集約する。
今回のものは“2段階構成”でエネルギーを集約するところがミソのようです。
そうすることでいままでには非常に多くの錯体が必要でしたが、この新しい方法によって錯体の種類を効率よく減らすことができるようなったようです。
そして次は、
植物の光合成は、光のエネルギーを利用して水と二酸化炭素から炭水化物を作り出すというもの。
次の物は植物を使って、植物が持っているポテンシャルを100%以上を引き出して上げる技術。
■光合成によるバイオプラスチックの生産効率で世界最高レベル達成
-ラン藻によるバイオプラスチックの新たな合成経路を確立-ポイント
・光合成だけでバイオプラスチックを生産、生産効率14%を達成
・ラン藻に微生物由来の遺伝子を導入、糖類不要の培養液で育成が可能に
・バイオプラスチックの低価格化と環境負荷の低減に貢献
さまざまな用途に使われているプラスチック製品はほとんどが石油由来です。
これに対して、微生物が作りだすバイオプラスチックは、微生物による分解性を備えるなど環境への負荷が少なく、温暖化の原因とされるCO2の削減効果が期待できます。
しかし、バイオプラスチックの生産には、微生物の培養に大量の糖と特別な施設が必要で、コスト面に課題があります。
共同研究グループは、バイオプラスチックの1つ「ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)」[3]を光合成だけで生産するためにラン藻に注目しました。
ラン藻にバイオプラスチック合成に関わる遺伝子を導入し、光合成によるバイオプラスチック合成手法の開発に取り組みました。
これが可能になれば、太陽光と、糖を含まない無機塩類の培養液から、CO2からプラスチックの生産が可能になります。実験では、ラン藻に3種類の微生物由来の遺伝子(phaB、 phaC、 nphT7 )を導入しました。
その結果、溶液の炭素源なしでラン藻の乾燥重量の14%に当たるPHAを合成し、世界最高レベルの生産効率を達成しました。さらに微量の炭素源として0.4%の酢酸を加えることで、PHA生産量は乾燥重量の41%まで向上しました。
引用:理化学研究所
日常で使っているプラスチックは化石燃料である“石油”から作っています。
そのプラスチックを、光合成の力で作る事で(つまりは光エネルギーだけで)作り出すことができる。
これも光合成を使ったエネルギーの有効活用です。
そして次に紹介する内容は、“細胞を人工的に作る”という研究です。
■世界初! プラスティックで「真核細胞」の作成に成功
オランダの化学者チームが、ポリマーによる人工的な「真核細胞」を世界で初めて作成した。
このような細胞が可能にする新しいマイクロレヴェルの技術によって、人工光合成やバイオ燃料の製造に革命が起きるかもしれない。
オランダにあるラドバウド大学ナイメーヘン校の化学者チームが、ポリマーを使った「真核細胞」を世界で初めて作成した。
真核細胞とは、核などの組織が膜で包まれた細胞であり、地球上のすべての複雑な生物形態の基盤となっている。真核細胞では、とても規模が小さく非常に効率のよい化学反応が可能だが、実験室でこれを再現するのは難しかった。
化学者チームは今回、細胞の基盤構造体に水滴を使い、そこに、核などの主要な構成要素を真似た酵素で満たされた、小さなポリスチレンの球を挿入した。
そして、細胞壁の代わりに「ポリブタジエン-b-ポリ」で全体を包み、ポリマーソーム(合成ポリマーで形成された膜によって定められたベシクル=球殻状に閉じた膜構造を有する小胞)を形成した。
こうしてできたものは、本物の細胞のように仕切られており、多段階の化学工程に対応できる。研究チームは概念実証として、これを暗闇の中で光らせた。
今回の結果は、合成生物学と合成化学に大きな影響を与える可能性がある。このような細胞が可能にする新しいマイクロレヴェルの技術によって、人工光合成やバイオ燃料の製造に革命が起きるかもしれない。
引用:Wired.jp
人工光合成では到底、植物の光合成の効率には到達できないところを、
“植物の細胞とそっくりなもの”を作ることで植物並みの光合成の効率を実現できるかもしれないとうこと。
今回紹介した3つはアプローチはそれぞれ違うものの、どれも
“光合成でより効率よくエネルギーを得たい”といった同じ目標に進んでいます。
はたして、
・人工的な光合成をさせてエネルギーを得る
・植物の光合成のポテンシャルを高めてエネルギーを得る
・植物の細胞を人工的に作り、光合成をさせてエネルギーを得る
どれが将来的にもっとも高効率でエネルギーを得られるようなるでしょうか。
とても面白い競争です。
ありがとうございました。
風車の極大と極小☆
2014.01.17|shiozawa
昨年の11月にとうとう福島の洋上風力発電が開始したということで、
太陽光発電に並ぶクリーンエネルギーとして“風力発電”が最近よく紹介されています。
そんな風力発電。
大規模なものをすぐに想像してしまいますが、
その正反対の“極小の風力発電”の風車が開発されたようです。
■わずか1.8ミリサイズの極小マイクロ風車が完成、将来的にスマホも充電可能に (2014.1.15)
そんな中、テキサス大学アーリントン校電気工学部教授のSmitha Rao氏たちが、将来的には、スマートフォンなどの携帯機器の充電も可能にする、わずか約1.8mmという極小サイズのマイクロ風車を発明しました。
通常の風車を使った風力発電機は、1つだけでも広いスペースと、ある程度の風速を必要としますが、Smitha Rao氏とJ.-C. Chiao氏が開発した最も長い部分でも約1.8mmという極小マイクロ風車は、1つの米粒の上に約10個乗せられるほどの極小サイズで、将来的には大量のマイクロ風車を取り付けたデバイスを空気中で振り回したり、風の強い日に掲げているだけで発電してバッテリーの充電を可能にするとのこと。
引用:Gigazine
1つの米粒の上に約10個 !
間違って口にしてしまっても気づかないほど小さい。
そこまで小さい必要があるのかと思ってしまうほどのサイズなので、驚愕の技術ですが
はたして一つ当たりでどれだけの電力が発電できるのかというところが一番疑問です。
しかし、プラスに考えれば、数で勝負。
空気さえあれば風はどこでも起こりますから、使い方によっては無限の可能性があるのかもしれません。
小さいものが約1.8mm。
では、現在の最大は?ということで
■経産省の浮体式洋上風力発電/世界最大7メガワット2基新設
経済産業省は、福島県沖で進めている「浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業」の第2期事業として、世界最大級の7メガワット浮体式洋上風力発電設備を2014年度から2カ年で新設する予定だ。
15年度末までに、世界初となる大規模浮体式洋上風力発電技術と洋上風力のビジネスモデルを確立させたい考え。
福島を「再生可能エネルギー先駆けの地」とするためのシンボルとともに、東京五輪開催の20年を目標の一つにしている。
第2期事業は、福島県楢葉町沖合約20㎞、水深約120mの海面に設置した現在の2メガワットの風力発電設備の設置海域に、アドバンストスパー浮体とV字型セミサブ浮体の2タイプの7メガワット洋上風力発電設備を設置する予定。
7メガワット風車は、1期事業で設置した2メガワット風車の2倍となる直径約160mとなる。
16年度以降は、地元漁業者など関係者と調整した上で、同事業の実用化を目指す。
引用:建設通信新聞
この巨大な風車。“ふくしま新風”と命名されたようです。
風車のサイズだけで160m。
当然風車だけでは立ちませんから、全長は200m越えではないでしょうか。
まだ稼働していないとのことですが、今年から稼働がスタートするとのことです。
では、なぜそこまで巨大化させる必要があるの?
ということですが理由はちゃんとありました。
風力発電の発電量は、風車の半径の2乗、風速の3乗に比例して増大する。
半径が2倍になれば発電量は4倍になる計算だ。
つまり、大型になればなるほど発電コストが割安になる。
そのため、風力発電機は年々大型化する傾向にあり、欧州、米国、中国を中心に大型風力発電機の導入が加速している。
なるほど。
風車の半径で乗数的に発電量が増える☆
納得です。
また、他にも洋上風力発電のための設備の建設がどんどん進んでいるようでして、
2km離れた海域には発電した電力を高圧に変換して陸上に送るための変電設備と風向きや風速を計測する観測タワーを乗せたサブステーション「ふくしま絆」も据え付けられた。
こちらの水面からの高さは60m。6万6000vの変圧器の洋上設置は世界初だ。
<浮体式洋上サブステーション「ふくしま絆」(福島洋上風力コンソーシアム提供)>
引用:nippon.com
そのままの電力を直接陸上に 送るとロスが大きくて効率がわるくなってしまうため、
風車と一緒に変電所まで海にプカプカ浮いているようです。
遅れをとりながらも、日本も本格的に風力発電建設に乗り出してきているようですが、“技術”の方はどうなのでしょう。
■三菱重工、油圧ドライブで大型化に対応
浮体式洋上風力発電所の建設技術そのものは既に確立している。
海底油田やガス田開発で取得した浮体式プラットフォーム技術を導入すればいいからだ。
沖合の風車から陸上に送電するための海底送電ケーブル技術も日本は保有。関連技術を持つ有力企業もそろっている。
問題は高い初期コストだ。
高深度の海域での浮体式発電設備の設置は建設費が高く、メンテナンス費用も陸上の比ではない。
コストを引き下げるためには風車を大型化するしかない。
それを実現したのが三菱重工だ。
風車が生み出す回転力を歯車ではなく、油圧で発電機に伝達する「油圧ドライブトレイン(動力伝達装置)」を開発。
英国の陸上実証機で稼働するとともに、7000kw風車2基(うち1基は「ふくしま新風」と命名)に導入する。
2010年に買収した英ベンチャー企業・アルテミス社の技術をベースに完成させた。
風車をデジタルで細かく制御できるほか、メンテナンスに大型重機が必要だった増速機(ギアボックス)が不要となるメリットがある。
風車を大型化するためには故障しやすい増速機の増速率を高める必要があり、技術的ネックになっていたが、油圧ドライブはその課題をクリア。1万kw規模への対応も容易になったという。
引用:nippon.com
今回の7MWの巨大な風車を実現できたのも、三菱重工の世界初の技術があったからだということがよくわかりました。
記事の情報の限りでは今後はドンドン油圧ドライブ式の風車になりそうですね。
大きくすれば発電の効率が乗数的に大きくなるということはよくわかったのですが、
他にも“効率”を上げる方法はないのでしょうかということで調べたところこんな技術があるそうです。
“風レンズ風車”
風レンズ風車は、風車の3枚の羽根の周りにリング状の「風レンズ」を取り付けた小型風力発電機。
レンズが光を屈折させて太陽光を集めるように、リングが風を集めることから、こう名付けた。
同じ風速であれば、従来の小型風力発電機に比べて2~3倍の発電量を得られるのが特徴だ。
現在の販売価格は1基当たり300万~400万円。
これまでの販売台数は約60基で、まだ多くはないが、このところは国内外を問わず問い合わせが相次いでいる。高田氏は数年内に量産化にこぎつけたいと考えている。
<九州大学発のベンチャー企業、ウィンドレンズの高田佐太一社長>
引用:日経ビジネス
2~3倍の発電量になる☆
原理は簡単で、例えば川幅が急に狭くなると水の流れは突然早くなります。
こういった原理が大型の風車にも適用する事ができれば、より安定した有望な電力発電が実現できるかもしれませんね。
結局、大きな風力発電の話で終わってしまいましたが、
“大きいくなろうとするもの”と“小さくなろうとするもの”の両方が一つの原理の中で存在している事にとても興味深く感じました。
ありがとうございます。