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イルカのキャメルクラッチ
2009.02.04|umiushi
以前、シャチに方言があるとか、群れによってエサの好みがあるとか、そんな話をご紹介しました。
どうやら彼らがまたまたやってくれたようです。
レシピに従ってイカをさばくイルカ (ナショナルジオグラフィック)
イルカはイカをそのまま食べたりはしない。捕食する際のユニークなレシピがある。まず内部の甲骨をはぎ取り、次に墨を出してからかぶりつく。
イルカをパンダ模様にしたのがシャチなので(乱暴)、似たようなものと勝手に認定してしまいますが、エサの好みどころかエサの食べ方まで確立されてるとか。リンク先では「調理」と表現されていますが、
メスのイルカは甲イカを海底まで追い詰めると、鼻先でイカを固定してから下方へ強く押し込んで甲骨を割りとどめを刺す。次に、死んだイカを持ち上げ、鼻先でたたいて墨を排出させる。墨を抜かれたイカはまた海底に戻され、砂に擦りつけられて甲骨がはぎ取られたのである。
これ、イカにしてみたら
だよなあ・・・
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なんにしても、これほどの高度な作業が独立に一代で編み出されたわけではなく、
研究チームは、このような調理技術がイルカの集団に普及していることを示す行動をオーストラリアの湾の水面で確認している。例えば、イルカの群れが通り過ぎた後に無傷のきれいな甲骨がいくつも海面に浮かんでいたのである。
やはり文化的なもののようですね。
今回はかなりダイジェストでご紹介したので、全文をご覧になりたい方は上のリンク先をどうぞ。
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それにしても、一部には「イルカはジンルイよりカシコイ!」などとおっしゃるアレなもとい夢見がちな方々もいらっしゃるようですが、
それは言いすぎにしても、やっぱりイルカはカシコかった!
リュウグウノツカイ
2009.01.28|umiushi
深海魚って、浅いところにくると「お゛えっ」ってはらわたブチ撒けちゃうんじゃなかった?という疑問もあるのですが、
そしてニュースによるとやっぱりすぐ死んじゃったみたいですが、
とにかく「竜宮の使い」なんて粋な名前つけますよね。
(海亀じゃないのか、という野暮なツッコミは無しで)
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それにしてもちょっと懲りすぎな気もします。凝るだけならまだいいんですが、生き物の名前って、ときどき変ですよね。
というわけで、極私的「変な名前ランキング」
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第5位 オジサン
見てのとおり、ただの魚。ヒゲがあるからオジサン、って、ドジョウやナマズはどうなる。
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第4位 トゲアリトゲナシトゲトゲ
*写真はキベリトゲトゲです
「棘あり棘なし棘々」・・・禅問答みたいですが、
棘のあるハムシ(コガネムシのたぐい)だから「トゲトゲ」、
それの親戚だけど棘が無いから「トゲナシトゲトゲ」、
さらにその親戚でやっぱり棘があったから「トゲアリトゲナシトゲトゲ」・・・
・・・目が回るわ!
ただしこれはいわゆる「標準和名」ではない模様。さらに言うと「トゲトゲ」という名前自体があまり使われなくなっているとか。まあいいや。
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第3位 ホトトギス
ほととぎす 鳴きつる方を ながむれば ただ有明の 月ぞ残れる
などと和歌にも詠まれる、日本人にとってなじみの深い鳥。何が変かというと、
これ全部ホトトギス。おい・・・
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第2位 カワテブクロ
見たまんま。皮手袋。ヒトデの仲間。
これだけぶ厚ければ、ドライアイスだろうが焼きゴテだろうが握れる。握ってどうする。
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第1位 オニヒトデ
ヒトデが上位独占してしまいましたが、私的ランクなので問題ないのです。
ヒトデのような平和な生き物に「鬼」とはこれいかに
実は英語では”Crown of thorns”、つまり「イバラの冠」、キリストがかぶらされたやつですね。
いやそれ痛いって!やめろって!
おっかない名前をつけるもんだ。
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番外 ウスバカゲロウ
何の変哲も無い虫、薄羽蜉蝣。右の幼虫のほうが有名かも。
・・・薄馬鹿下郎・・・
「かはく」がすごい件
2009.01.14|umiushi
週末に遠くの友人が遊びにきました。会うなり「太ったなお前」などと言われましたがそれはともかく、
彼が「上野の科学博物館に行きたい」と。
そういうわけで国立科学博物館、略して科博に行ってまいりました。小学生のころ連れて行ってもらって以来、実に20年ぶりではないですかな。
少し前に新しく「日本館」なる建物が完成したようですが、友人が一番見たいのがキカイ関係らしいので、まずは地球館のそのフロアへ。
いきなり零戦というのもさすがですが、
タンスくらい馬鹿でかいアナログ式の9連立方程式を解く計算機とか、
タイガー手回し計算機とか、
江戸幕府(!)がオランダに発注して平成の世まで稼動してた工作機械とか、
100円ショップで電卓が買える時代からすると、土下座して謝りたくなるような過去の英知の結晶がてんこ盛り。すげえ先人すげえ。もう完全に人類の歴史リスペクト。
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他のフロアでは、哺乳類の剥製がずらり勢ぞろい。中でもラクダが最大級なのが意外。それはともかく、動物でかい。こんな奴ら相手にホモサピエンスが丸腰でどうしろと。動物すごい。
恐竜なんかでかすぎて笑うしかない。「恐竜は絶滅していません。鳥として生き残っています」ってあいつら恐竜なのかよ。ダチョウなんかが怖い理由がわかった。生き物の歴史すごい。
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結論として何がすごいって、科博じたいがすごい。何しろ昔原田宗典が言っていたけど、あそこには本物しか置いてない。
たとえば渋谷のハチ公は銅像だが、科博のハチ公は本人というか本犬の剥製なんである。ホンモノでない例外は3つしか確認できなかった。
・メートル原器、キログラム原器
これはさすがにレプリカ。でもちゃんとしたレプリカ、ってのも変な日本語だけど、ちゃんと複製してるからホンモノと同じつくり。その辺がやっぱりすごい。
・「地球のできかた」「恒星」などの展示
まあ、天文関係は本物を展示しようがないんだけど、それが気になるくらい他のものが全部ホンモノだった。
・元素の周期表
驚くべきことに、それぞれの元素がきちんと展示されているのですが、さすがに放射性元素は展示してなかった。これは仕方ない。危ないもんな。
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「ルーブル熱」なんて言葉がありますよね。ルーブル美術館を見学してて、質量ともに圧倒的な展示にあてられて具合悪くなるってやつ。科博も同じでした。
最後にひとつ、これで入館料400円というのもすごいですね。
「ウサギリンゴ」作れる?…親だって35%できない
2008.12.12|umiushi
最初に申しますが、今日の記事は不毛です。私用で面倒くさい文書を書いてた反動で、
「マスコミ様はテキトーに済ませられていいっすね!」
みたいな激しい八つ当たりの産物です。が、せっかく考えたのでアップさせてもらいます。
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「ウサギリンゴ」作れる?…親だって35%できない (YOMIURI ONLINE)
リンゴの皮をウサギの耳に見立ててむく「ウサギリンゴ」。お弁当の定番とも言えるウサギリンゴの作り方を知らない親世代が35%もいるという調査結果がまとまった。
調査は青森県の青果販売業者らでつくる「青森県りんご対策協議会」が11月に実施し、全国の10~60歳代の男女400人から回答を得た。
このうち、2~12歳の子を持つ20~40歳代の男女95人に、ウサギリンゴについて尋ねたところ、「作り方がわからない」「作れない」と答えたのが29人(30・5%)いた。「知らない」(4人)を含めると、子育て真っ最中の親世代の34・7%が作れないことになる。
50~60歳代では、作れない人は20・6%。50~60歳代女性に限れば、「作れない」は4%の一方、72%が「作るのが得意」としていた。
総務省の家計調査年報によると、リンゴの国民1人当たりの年間購入数量は、1986年の4・8キロ・グラムから2005年には4・0キロ・グラムに減 少。同協議会の調査でも、「ジュースや加工品を含め、リンゴをどのくらいの割合で食べるか」との問いで、60歳代は22%が「ほぼ毎日」なのに対し、現役 親世代の41%は「月1回以下」だった。
同協議会は「若年層のリンゴ離れが『ウサギリンゴ』を知らない人の増加につながっている」と指摘する。
この記事だけ読むと「最近の若いもんはウサギリンゴも作れない」という印象になりますね。ウサギリンゴ作れる若いもんとしては反応に困るところであります。とはいえ今のうちに申しますが、ウサギリンゴの是非はどうでもよくてですね。
この記事、数字が色々出てきますが、よく読むとあいまいなんですよ。
実は書いてたらものすごく長くなったので、いきなり結論から申しますと、
- 50~60歳代女性 25人(1人)
50~60歳代男性 9人(6人)
2~12歳の子供がいる、
20~40歳代男女 95人(29人)
2~12歳の子供はいない20~40歳代、
および10代の男女 271人(関係なし)
*カッコ内はウサギさん作れない人の数
こういう偏った集団からでも、以上の数字は出てきてしまう。
もちろん、好意的に解釈すれば、50~60歳代ももっと人数が多かったんでしょう。紙面の都合で盛り込める情報に限りがあったのかも、と考えることもできます。
ですが下で詳しく述べますが、悪意を持ってというか、あえて疑えば疑えてしまうんですよ。肝心の青森県りんご対策協議会にも元データがない。
もし僕が邪推したような数字を根拠にこういう論調になってるとしたら、それはもう印象操作や情報操作ですよ。というか記事の最後、
同協議会の調査でも、「ジュースや加工品を含め、リンゴをどのくらいの割合で食べるか」との問いで、60歳代は22%が「ほぼ毎日」なのに対し、現役 親世代の41%は「月1回以下」だった。
ずっと50~60歳代が同じくくりだったのが、なんでここにきて60代だけになるのかとか、現役親世代の子供の有無は今度は関係ないのかとか、そもそも違う世代間で「ほぼ毎日」の割合と「月1回以下」の割合を比べても何の意味もないとか・・・
これ絶対、印象操作してるって!
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結論は以上です。
ちなみに、というか以下の文章のほうが長いのですが、上の数字の根拠について。お暇な方はどうぞ。
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いきなり核心からつくと、
・50~60歳代が何人だったか書いてない
この年代で作れない人が20.6%とあるが、具体的に何人中かが書いてない。とりあえず20~40歳代の男女が少なくとも95人、また10代の人間が少なくとも1人いるはずなので、これらを引いて、この年代の最大値は304人。
ちょっと計算したところ、最低で34人中7人が作れないときに20.6%になるが、以後20.6%になる組み合わせは13/63人、14/68人、・・・62/301人まで、全部で39通りある。
しかし一方、50~60歳代女性で「作れない」と「得意」が、どちらも小数点以下がなくて、きっかり4%と72%なのが少々ひっかかる。直感ではあるが、おそらく元の人数は25の倍数。しかも百分率にしたときに4も72も「偶然」4の倍数というのもちょっと気に入らない。
一番簡単に考えると、50~60歳代女性は25人で、うち1人が作れない、となる。
すると、50~60歳代女性25人(うち1人は作れない)に、同じく50~60歳代男性9人を足して、このオッサンのうち6人がウサギリンゴ作れないとして、記事中の数字は出せる。
公平のために、他に現実的な数を出しておくと、
・女性25人(1人)にオッサン38人(12人)
・女性25人(1人)にオッサン43人(13人)
・女性50人(2人)にオッサン13人(11人)
・女性50人(2人)にオッサン18人(12人)
・女性50人(2人)にオッサン47人(18人)
・女性75人(3人)にオッサン22人(17人)
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他の点でイジワルなことを言えば、
・20~40歳代の男女比も不明
ネタがお弁当のメニューだけに、女性のほうが知っていそうだが、2~12歳の子を持つ20~40歳代の男女95人について、男女比が不明。もしかしたら、男がめちゃくちゃ多いのではないか?
・子供の年齢の定義
そもそもここで、どうして子供の年齢が2~12歳限定なのか。2歳未満では皮付きリンゴ食べられなくて、親も作り方を知らなくてよいという考え方はある。しかし12歳より上を除外する必要が無い。記事中に「子育て真っ最中~」と書いてあるのが根拠かもしれないが、それだと今度は子育てが終わった50~60歳代と比較するのはいいのか、という疑問が浮上する。
・独身者の扱い
子供いない20~40歳代はどこへ行ったのか。また直前の指摘と重なるが、50~60歳代の子供の有無を問うていないのが非常に気になる。
・10代男女の扱い
記事の最初のほうで「全国の10~60歳代の男女400人」と書かれている。400人というと母集団が多くて数字に信用が置けそうだが、以下の文章に10代が全く出てこない。
また仮定の話ながら、34人中7人の20.6%と、95人中29人の30.5%は、単純に比較できない。
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・・・と言いますか、
・年配と若い人で差がでるような分け方を、何とか探し出した結果が引用元の記事
という可能性を、わたくしは疑っているわけです。10代が全く出てこないとか、 20~40歳代は子供の有無で分けてるのに50~60歳代はその点不明だし、その子供の年齢も何故か限定してるし、そうかと思うと50~60歳代から女性だけ突然抜き出してみたり、不自然な点が多すぎる。そもそも20~40歳代と50~60歳代って、分け方が不均一なのはなぜだ。なんで30では区切らなかったんだ。
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小姑のようにもっとチクチクつつけば、
総務省の家計調査年報によると、リンゴの国民1人当たりの年間購入数量は、1986年の4・8キロ・グラムから2005年には4・0キロ・グラムに減少。
この期間の「出荷量」や「価格変動」も書かないとフェアじゃないですよね。売ってないものは買えないし、高くなったら買い控えるわけですから。たとえば出荷量が減少した結果、購入量もそれと同じ割合で減少している可能性もあるわけです。それになんでハンパに過去の2005年のデータを持ってくるのかとか、どうして比べる相手が1986年なのかとか・・・
・・・・・・
・・・
もうヤケクソで小姑ついでにリンクするのがこちら
いやー今日はわれながら「嫌な奴」だ。
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そもそもの発端は、
同協議会は「若年層のリンゴ離れが『ウサギリンゴ』を知らない人の増加につながっている」と指摘する。
最後のこの一文にかもされる「最近の若いもんは」感が気に障っただけなんですけどね。
泥火山で“メデューサ”・ワームを発見
2008.12.11|umiushi
ワームというとミミズみたいな細長い生物の総称ですが、それにしても粋というかしゃれた名前つけますね。西洋では神話って身近なんでしょうかね。
海底で新種のチューブワームが発見された。その姿形を発見者のアナ・ヒラリオ氏は、頭髪をヘビに変えられた伝説のメデューサに例えるが、もちろん見たもの を石に変えてしまう目は持ち合わせていない。控えめなヒラリオ氏は、少なくとも1種にはギリシャ神話のその怪物にちなんだ名前を付けようと考えている。
ナショナルジオグラフィックより。しかし同時に、
ヒラリオ氏は、同じ遠征調査で発見した別種のワームには既に「Bobmarleya」という名前を付けている。そのワームのドレッドヘアのような姿形を見て、ジャマイカのレゲエシンガー、ボブ・マーリーを思い出したからだという。
というのは、控えめとか関係なく青春爆発な感じで押忍であります。
閑話休題。メデューサというと、頭髪がヘビの魔物ですね。姉妹にゴーゴンがいますが、実はゴーゴンの名前がついた生き物もいるようで。クモヒトデという、ヒトデに近い仲間の一種のコチラ、
テズルモズル属、Gorgonocephalus
属の名前がギリシャ語だかラテン語で、そのまま「ゴーゴンの頭」って意味だとか。
・・・尤も日本の一部の漁師さんたちは「アデランス」などと呼んでるという話もありますが。
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気色悪い生き物がつづいてしまったかもしれません。が、せっかくなので究極に気色悪い「ワーム」を。
ゾンビワーム!
ギャグでもゲームのモンスターでもなく、本当に通称ゾンビワーム。まず見た目が「ワーム」でキショイ。ゴカイの仲間です。2年ほど前、新江ノ島水族館で展示してました。
しかしなにより気色悪いのがその生態。死んだクジラなどの骨にしか生息しないというとんでもない生き様が炸裂。下の白いの、実際にホネです。ゾンビというか、ネクロマンサーって感じもしますね。
・・・そして朝っぱらから気色悪くて申し訳ない。食事中のかたごめんなさい。
カテゴリ:科学