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今後の日本産業についてですが。
2012.12.14|shiozawa
今週は特にお堅い内容です。
かつては高々と技術立国“日本”と言われてきましたが
近年、新興国の台頭や超円高によるデフレで日本産業はますます明るい希望が持てなくなるばかり。
そんな時こそ、全国民で“負のスパイラルからの脱却”のための大きな指針を持つべき。
ということで、
かつて経済産業省所属であった“産業技術総合研究所”が主催で催されている
日本の成長戦略の会議のざっくりした内容と最近の現状をちょっぴり紹介。
■6分野で16項目提言 産業技術会議が最終報告
独立行政法人の産業技術総合研究所が主催する「日本を元気にする産業技術会議」(後援・日本経済新聞社)は12日、日本の成長に向けた提言「“もの”“こと”“ひと”づくりで日本を元気にしよう!」の最終報告をまとめた。
最終報告は
(1)エネルギー・資源
(2)革新的医療・創薬
(3)先端材料・製造技術
(4)IT(情報技術)・サービステクノロジー
(5)人材育成
(6)国際標準化
の6分野で、産業競争力を高める16項目の提言をまとめた。
エネルギー分野では再生エネルギーや省エネルギー技術に一段の磨きをかけることや医療分野では再生医療の早期実用化の必要性を強調した。
企業に役員クラスの最高標準化戦略責任者(チーフ・スタンダード・オフィサー)をおくことなど取り組むべき課題をあげた。
<日本を元気にする産業技術会議の分野別提言骨子>
【エネルギー・資源】
日本の危機克服で世界に貢献
(1)再生可能エネを中心に分散型電源の競争力を高めよう
(2)省エネの社会インフラ技術の海外展開を目指そう
(3)資源探査・開発の自前技術を蓄え国内の資源調査を推進しよう【革新的医療・創薬】
豊かな高齢化社会へ技術力結集
(1)創薬プロセスを効率化し革新的新薬を生みだそう
(2)世界に先駆けて再生医療の産業化を加速しよう
(3)元気な高齢化社会をつくる革新的医療機器の実用化に取り組もう【先端材料・製造技術】
ものづくり王国復活へ
(1)ナノテクノロジーでものづくりを革新しよう
(2)分散型資源に立脚した新しいものづくりを追求しよう
(3)自立分散型の生産システムで顧客視点のものづくりに挑もう【IT・サービステクノロジー】
データ革命で価値づくり
(1)もの・ことづくりを目指しサービステクノロジーの開発と応用に取り組もう
(2)情報をヒト・モノ・カネと並ぶ経営資源として活用し新ビジネスを創造しよう
(3)ビッグデータ活用のため情報セキュリティー技術を開発・利用しよう【人材育成】
創造力は多様な個性から
(1)オープンイノベーションに挑む人材育成のため産学官連携で「人材育成プラットフォーム」を創設しよう
(2)グローバル人材育成に向け大学や公的研究機関は「人材開国」に取り組もう【国際標準化】
知財大国へ「技術外交」強化
(1)企業は最高標準化戦略責任者(CSO)を任命し標準化戦略を事業戦略に直結させよう
(2)国際的に存在感のある認証機関を育てよう
まず、最初の議題
“エネルギー・資源”
流れとしては“電力自由化”推進のようです。
“電力自由化”により家庭レベルでも電力の売買ができるようになっていくと思いますがその電力網の構築がそんな簡単なことではない。
また、電力の値段を競争することになりますから、価格が安くなると思いますがそううまくはいかないよう。先を行っているヨーロッパではことごとく失敗しています。
■電力小売り完全自由化 実現に課題山積、価格高騰の可能性も 2012.12.6
過去10年以上にわたり電力自由化を進めてきた欧州各国では、電気料金は2~3倍に上昇した。
再生エネルギー導入費に加え、小売業者の利潤も加わったためだ。「電力不足のなか、業者間で電気の奪い合いが起これば価格は高騰する」(大手電力幹部)。
完全自由化の導入の仕方を誤れば、国内電力供給が混迷を極める可能性がある。
引用:産経新聞
一気に自由化にシフトせずに慎重に進めれば、技術の研修開発も進みますし良いかとは思います。
ただ、焦っては禁物。
普通に考えて電気代はどんどん高くなるなるでしょう。
また、海外資本に100%国の基礎である“電力”事業を乗っ取られるのだけは避けてほしいです。
当然自由化にはそのリスクはあります。
“革新的医療・創薬”
ちょうど京都大学の山中教授がノーベル賞を受賞され、おとといに授賞式が行われたところ。
山中先生が開発しましたiPS細胞によって再生医療の研究のスピードが急激にアップすると思われます。
せっかく日本で生んだ技術なのだから、研究だけでなく産業としてしっかり確立するまでに、国が主導となって、重要特許はしっかり守りながら支援してほしいです。
“先端材料・製造技術”
日本がここ最近もっとも失敗している分野の一つかと思います。
半導体技術の流出と価格の暴落等々により、日本を代表するエルピーダメモリは経営破綻。
アメリカの半導体大手、米マイクロン・テクノロジーが総額3000億円規模の支援をし、完全子会社として再建を図るとのこと。
雇用はひとまず守るといいますが、外資系なので雇用はきっと年更新ではないでしょうか。
また、ルネサスは日本の自動車を支える大事な半導体を製造する会社。
■ルネサスが2000億円出資受け入れ、正式発表 12月10日
経営再建中の半導体大手ルネサスエレクトロニクスは10日、官民投資ファンドの産業革新機構とトヨタ自動車など国内企業8社から、最大で計2000億円の出資を受け入れると正式に発表した。
一時、外資ファンドによるルネサス買収が有力になり、日本の産業界に半導体を安定調達できなくなる危機感が広がったことで、国内勢による巨額の支援が成立した。
ルネサスは来年2月から9月にかけ、1500億円の第三者割当増資を実施する。うち革新機構が1383億円強を引き受け、出資比率7割弱の筆頭株主となる。残りはトヨタなど8社が計116億円強を出す。革新機構はさらに、追加出資または融資を500億円を上限に行う予定だ。
引用:読売オンライン
“IT・サービステクノロジー”
“人材育成”
■日本の国際学力テストがランクアップ 2012/12/13
国際教育到達度評価学会(IEA)は11日、小学4年生と中学2年生を対象とした国際学力テスト「国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)」の11年の結果を発表した。
この調査結果によると日本は全科目(小4算数・理科、中2算数・理科)で平均点が上昇または横ばいとなった。
また国際順位で見ると全科目で5位以内に入り、理数系の学力がやや改善したとされている。
この調査は4年に1回実施され、前々回03年の調査では平均点や順位の下落が鮮明になり、学力低下論争の引き金となった経緯もある。
今回は特に小学4年生の成績が過去最高となった模様であり、小学4年生の成績が明確に上向いたのは1995年以降で初めてだという。
今回の調査結果に対して文部科学省では、09年度からの「脱ゆとり教育」路線を鮮明にした新学習指導要綱の成果だとして、子供の学力は改善傾向にあるとしている。
引用:サーチナ
“国際標準化”
■電気自動車(EV)の主導権争奪戦「チャデモvsコンボ」日欧自動車メーカーの標準化覇権争いが勃発した!!
自分たちが世界標準でないと気が済まない西洋人、無関心な政府、詰が甘いチャデモ
チャデモとコンボ、電気自動車の充電方式の標準が争われている。ああ、またかという気分にさせられているのは私だけではないだろう。これまでにもテレビや携帯電話などで、何度も標準化が問題になってきたからだ。テレビも携帯電話も、はっきり言って西洋人(とりわけヨーロッパ人)の東洋人(とりわけ日本人)に対する差別意識としか思えない対応で、いずれも日本とは異なるシステムが採用され、日本はガラパゴスかを余儀なくされてきた経緯がある。だから、私は何年も前から電気自動車では、そうしたことにならないように警鐘を発してきたが、残念ながら電気自動車の充電方式についても、西洋人による日本外しが徹底されそうな状況である。日本では、5月22日にチャデモ方式の充電システムを推進する企業による第二回チャデモ協議会総会が開かれた。
総会では、チャデモの推進をアピールすると同時に、欧米の自動車メーカーがコンボ方式とい別方式を主張してきたことに危機感を強めている。
ただ、今となってはすでに手遅れといった感がないでもない。
火星探査の発表で盛り上がっているようですが。
2012.11.30|shiozawa
今年の8月6日に火星に着陸した無人火星探査車「キュリオシティ」。
到着してから約4ヶ月。
大発見を期待する米メディアは
“近々重大な発見が発表される”
なんて言っており、なんか盛り上がっておりますが。。。
■火星探査で重大発表?うわさ拡大…NASA否定
米航空宇宙局(NASA)の無人火星探査車「キュリオシティ」が 何らかの重大な新事実を発見し、NASAが近々発表するのではないかと、 米メディアで話題になっている。
NASAは読売新聞の取材に対し、米太平洋時間12月3日朝 (日本時間4日未明)にサンフランシスコの米地球物理学連合の 学会会場で記者会見を開くことを認めたものの、
「いくつかのうわさ話は明らかに過大評価。重大な新発見はまだない」 としている。きっかけは、米公共ラジオ(NPR)が20日に放送したカリフォルニア工科大の ジョン・グロチンガー教授のインタビュー。
キュリオシティが取得した 火星の土や気体のデータを分析している同教授は「とても興味深いデータが 得られている。歴史書に残ることになるだろう」と語った。
引用:読売オンライン
結局、米メディアが誇張しすぎちゃったようですね。
期待する気持ちはすごくわかります。
しかし、メディアはあくまで人々に対する情報発信源ですからご注意を。
ここからは火星探査機「キュリオシティ」の成果をご紹介。
ただし、これらの情報もどこまで信憑性のある情報なのかわからないのでご注意を。
■ 火星の砂にハワイの火山と同じ成分、キュリオシティが発見
火星探査機キュリオシティがX線を使った火星の土壌分析を初めて行いました。
火星の土壌にどんな鉱物が含まれていて、それがどのように形成されていったのかを探ろうとしています。
分析に使われているX線分析装置はその名も「CheMin」。薬粒くらいの量の土壌サンプルを採取して、そこに毎秒2000回の振動を与えながらX線をあてます。粒子にあたったX線がどう屈折するかによって、そこにどんな物質が含まれるかがわかるという仕組みです。
Cheminを使って火星のロックネスト(Rocknest)と呼ばれる地域の土壌サンプルを分析したのが冒頭の画像です。その結果、サンプルには地球にも存在する長石、輝石、かんらん石が含まれており、ハワイのマウナケア火山の岩と組成が非常に近いことがわかったのです。
引用:Gizmodo.com
地球の火山と同じような成分ということは火星にも火山があるのでしょうか。
これからの土壌調査がいっそう楽しみです。
■キュリオシティ、火星で水の証拠を発見
NASAの火星探査車キュリオシティが、水の直接的な証拠を発見した。
カリフォルニア州パサデナにあるNASAジェット推進研究所(JPL)は9月27日、着地点のゲイル・クレーター付近で、丸い小石や砂利が見つかったと発表。現在は完全に乾燥している火星の表面に、足首から腰程度の深さの速い川が流れていたという。
しかもその水流は、数千年~数百万年も続いたとも推測されている。
今回の発見は、水の存在を示す初の直接的な証拠である。
衛星画像からは切り立った峡谷や川床のような地形が確認されており、かつて水が流れていたとの仮説が立てられていた。
その裏付けをついにキュリオシティが手に入れたことになる。
今後は水流の性質、存在していた期間について、さらなる研究が進められていく。
水なのか、ほかの液体なのかわかりませんが、かつて地表を流れていた可能性が高いということですね。
しかし、風さえあれば、地表は浸食されますし、石も転がって丸くなる気がするのは私だけでしょうか。
今回の探査機では特に火星の画像がすごく充実しております。
特におすすめなのがこちら。
以下のURLでは360°パノラマ映像が見られます。
しかも上下移動、拡大縮小もできます。
今後もキュリオシティは20km程度移動する予定がありますし、火星の旅はまだ始まったばかり。
新発見の可能性はまだまだこれから。
楽しみです。
最後につい先日、壮大な“火星移住プロジェクト”を発表した人がいるのでご紹介。
■8万人の火星移住プロジェクト 米ベンチャー創業者が構想 (11月28日)
(CNN) 米民間宇宙ベンチャー、スペースXの創業者で最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏が、火星移住プロジェクトの構想を発表した。
米科学誌サイエンティフィック・アメリカンによると、マスク氏が描いているのは、液体酸素とメタンを燃料とする再利用可能なロケットを使い、最終的に8万人を火星へ移住させる構想。
透明のドームを建設して地球上と同じ穀物を栽培し、肥料や酸素、メタンの生産施設も設ける。
1人当たりの料金は50万ドル(約4100万円)と見積もっている。
当初は資材とともに1回につき10人以内のグループを送り込み、定住が成功すれば人員の割合を大きくするという。
引用:CNN
火星に移住したい人ははたしているのか?実現性はどうなのか? というのはさておき、大きな夢のある話。
こういった話を聞くとなぜか元気が出ます。
ありがとうございます。
人が乗れるロボットが登場「KURATAS」
2012.11.17|saito
こんにちわ!
齋藤です。
子供の頃からガンダムを始め、ロボットがかなり好きだったのですが、
デザイン性もある「乗れる」ロボットが販売されるとの情報を掴んだので、ご紹介です!
「KURATAS」
実際に人が乗って操縦ができ、全高4メートルの巨大ロボット「KURATAS」が登場!
KURATASは、「水道橋重工」という組織が開発した。
今年の「ワンダーフェスティバル2012[夏]」に初登場し、各所からの注目を集めていたようです。
公式サイトでは日本円で、1億760万円で購入することもできます。
11月28日~12月10日にかけて東京・お台場の日本科学未来館にも展示され、試乗も可能との事です。
購入ボタンが、「夢を買う」と記載されている粋な仕様。
たしかに金額的にも夢ですよね。。。
本体色も選べます。
自分色にできるのは、ゲームみたいです。
さらにコクピットの仕様まで、替える事が可能という。
細かすぎるサービスが、日本人ぽいです。
もちろん、アームなどのパーツも変更可能。
さらにウェポン(武器)まで、選べるとの事。
もちろん、本物ではないえすが、ロボット好きにはたまらないでしょう。
ここまでくると軍事利用されちゃうんじゃないの?と不安になってきますが、
購入ボタンの夢を買うという部分を忘れずにしていってほしい物です。
そして、こちらが実際の動画!
↓↓↓↓↓
ちょっと普通に乗ってみたいんですが!!
アマードコアを彷彿とさせますね☆
ありがとうございます。
ワンピースの“風貝(ブレスダイアル)”が活躍する時代がくるかも。
2012.11.09|shiozawa
すごく身近なモノを動力にして走るバイクがオーストラリアで制作されました。
そのバイクがこちら。
一見普通のバイクのように見えますが、
おなかのところにみんな見たことのあるものが入っています。
そう。
「ボンベ」。
このバイクはボンベに入った空気の圧力で走るバイクなんです。
http://www.youtube.com/watch?feature=player_detailpage&v=YRwa1e_8Q54
■2分で満タン、圧縮空気で走るバイク 最高時速は140km
圧縮空気で走るバイクが制作された。
フルタンクでの走行距離が100km、最高時速が140km。廃棄するバッテリーもないため環境にも優しい。
オーストラリアで工学を学ぶ大学院生ディーン・ベンステッドのプロジェクトである「O2 Pursuit」は、車載タンクに蓄えられている圧縮空気で走るバイクだ。
このプロジェクトは、まず圧縮空気ロータリー・エンジンから始まり、それを中心にモトクロス用のダート・バイクを組み立てたものだ。
フレームには「Yamaha WR250R」を使用し、後輪には動力を供給するスキューバダイビングのタンクと25ポンドのエンジンが追加されている。
スロットル・レバーを握ると空気が放出されてバイクが加速する。その性能は素晴らしい。
O2 Pursuitはタンク満タンでの走行距離がおよそ100kmで、最高時速は約140kmに達するという。
引用:産経新聞
意外や意外。
満タンで100kmも走れてしまうということも驚きですが
“特殊なボンベが搭載されているんだろうな。”と思いきや、「スキューバダイビング用のボンベ」が動力源ということ。
ですから特別なものを動力にしているわけではないところが最大の魅力です。
今回のバイクに使われているエネルギーは「圧縮空気」。
ギュッと圧縮された空気を放出する力をエネルギーとして使うということ。
ボンベなので、開封弁を開かなければエネルギーをほとんどロスなしで長時間保存できますし。
ここで思い出したのが漫画のワンピースの“風貝(ブレスダイアル)”。
気体を蓄えて風として噴出する貝。
ウェイバー(漫画に出てくる乗り物)や貝船の動力として使われる。
まさに、これだと思います。
そんな「圧縮空気」をエネルギー保存の手段にした電力発電技術の研究が日本や世界で進んでいます。
そしてこちらが
簡単な「圧縮空気」を利用した発電方法の例。
圧縮空気を使った発電ユニットの基本的な発電方法は
- 揺れや振動、圧力などのエネルギーを使い、空気をエアポンプ(右図のポンプ)で吸入する。
- 【1】の空気をポンプからエアタンク(右図の風船)に送り込み、タンク内に蓄積・圧縮する。
- 【2】で蓄えた圧縮空気をタンクから排出してタービンを回転させて発電する。
人でも車でも、船でもなんでも圧力を加えるモノであれば何でもよし。
揺れや振動、圧力の力をボンベ(エアタンク)の圧力に変換さえできれば、エネルギーになっちゃうということ。
この「圧縮空気」技術開発は
日本以上にアメリカで注目されており進んでいます。
その研究開発の先頭に立つのがこの若い女性。
天才女性科学者 ダニエル・フォン(Danielle Fong)
まだ、26歳ですが、
20歳の時にライトセイル・エナジー(Lightsail Energy)というベンチャー企業を設立しており、
世界中の余剰エネルギーを「圧縮空気」にして巨大なタンクに保存する
技術を研究開発している会社で今世界で注目を浴びています。
現在開発中の蓄電システムは、当初の35%程度から、いまでは約70%まで圧縮空気(エネルギー保存)の効率が高まっていると、彼女は説明しています。
また、ダニエルの考えでは
圧縮空気タンクの潜在的市場規模は今後20年間で1兆ドルを超える可能性があるとのこと。
将来、すべてのエネルギーが電気ではなく、「ボンベ」で保存する時代が来たり。。。
ありがとうございます。
大きなポテンシャルがある環境にやさしい “ごみ焼却発電”
2012.09.28|shiozawa
何度か“エネルギー関係のネタ”をここでかかせていただいてますが
最近は特に環境への負荷の小さい発電である風力発電や、地熱発電などに関して取り上げました。
しかし、もっと私たちにとって身近でもっと容易に発電できそうなものが身近にありました。
「ごみ焼却発電」です。
その名前の通り、ごみを燃やす時に発生する熱で発電する技術。
ごみ焼却発電の施設数は一般廃棄物で304施設あり、総発電電力量は年間約6,900ギガワット・時(GWh/年)に上ります(環境省「日本の廃棄物処理」平成21年度版)。
1世帯の年間電力消費量を3,400kWh※とすると、約200万世帯をまかなえることになります。
引用:http://www.pwmi.jp/plastics-recycle20091119/future/index.html
名前の通り、クリーンセンターで燃やすごみの熱エネルギーで発電する技術のことのようです。
そんなゴミ焼却発電の建設で日本をリードし世界でも活躍している企業がありました。
「日立造船」。
今年に入ってからも、新興国やヨーロッパを中心に受注を増やしている時代にあったなかなかやる企業です。
今年の実績がこちら。
■日立造、インドにゴミ焼却発電設備で参入-設計から建設まで一貫 (2012/6/18)
日立造船は主力のゴミ焼却発電プラント事業でインド市場に参入する。
現地のゴミ処理業者や関連メーカーが集積するハイデラバードに拠点を新設。欧州子会社の日立造船イノバ(チューリヒ)と共同運営し、現地のコストに合わせたEPC(設計・調達・建設)を展開する。
インドは都市部を中心に、衛生的で発電もできるゴミ焼却処理プラントの需要が拡大しつつある。
日立造船は得意なストーカー式で現地市場を創出し、2014年3月期までに初受注を狙う。
新設したのは「ハイデラバード支店」。現地法人の日立造船インドの出先機関として設置し、業務を始めた。ゴミ焼却発電事業を専門に手がける中核拠点にする。
現地でのプロポーザル(提案)対応から営業、調達、施工管理、製作、建設工事、試運転までゴミ焼却発電プラントのEPCを展開。引用:日刊工業新聞
■日立造船、英国で都市ごみ焼却発電プラント建設工事を受注 (2012/4/9)
日立造船は6日、同社の100%子会社で、都市ごみ焼却発電プラントの設計、建設、保守などを手がけるHitachi Zosen Inova AG(スイス、以下HZI社)が、イギリス第2位のエネルギー(電力・ガス)供給会社で再生可能エネルギーによるエネルギー供給も推進しているSSE Generation Limited(以下、SSE社)および米国EfW設備運営事業会社WTI/EFW Holdings Limited(以下、WTI社)が出資する特別目的会社Ferrybridge MFE Ltdより、Ferrybridge West Yorkshire(ロンドンから北西550km)での都市ごみ(RDF)焼却発電プラント(2,026t/日=1,013t/日×2炉、発電量:68MW)建設工事を受注したと発表した。
同案件はHZI社のイギリスでの5件目の受注となるが、1炉当たりの処理量はHZI社最大となる。
今回HZI社がEPC(設計・調達・建設)工事を受注した都市ごみ(RDF)焼却発電プラントは、SSE社のFerrybridge石炭火力発電所敷地内に建設されるが、Ferrybridge周辺自治体BDRWP(Barnsley、Doncaster、Rotherham Councilsのごみ処理機構)のごみから製造されるRDF(ごみ燃焼化物)などを燃料として発電を行なっていく。
引用:財経新聞
これら以外にも、最近多くの実績が出ているなかなか勢いのある企業のようです。
ここでちょっと違和感を感じるのがその会社の名前。
日立造船株式会社ということで造船の会社のはずですが、似ても似つかないごみ焼却発電の開発をしております。
■日立造船創業130年目に第二の創業宣言造船なき重機メーカーの捲土重来
02年に大黒柱だった造船業を切り離した後は、以前からある環境・プラント、精密機械、機械・プロセス機器、海洋防災システム、鉄構・建機などの重工業分野で収益性を高めて事業を強化することになった。
環境ビジネスは伸びていたが、まだ柱といえるほどに大きな存在ではなかった。
日立造船にとっては“虎の子”だったユニバーサル造船の株式を350億円で売却し、その多くを負の遺産の処理に充てた。
これで持ち株比率 が50%から15%に下がる。この時点で、125年の歴史を持つ造船業から事実上撤退することが決定的となり、社員は心理面で大きなショックを受けること になった。
苦しい時期だったが、造船を切り離しても続いた財務改革の一方で、古川社長は計14の将来に向けた大型プロジェクトを発足させた。
すでに実用化が 秒読み に入ったものには、「海底設置型フラップゲート式防波堤」がある。
03年から開発を始めた類例のない機器で、地方自治体の防災担当者や電力業界の関係者か らの問い合わせが後を絶たない。
古川社長も「最低で100億円、うまくいくと300億~500億円規模に成長するかもしれない」と期待を寄せる。
《現在、実海域試験中の「海底設置型フラップゲート式防波堤」》
これは、ビジネスモデルの組み替えだ。その流れの中、冒頭で紹介したイノバ社がグループに加わった。
その意味が大きいのは、環境ビジネスを前面に押し出すことで日本から世界へと一気に舞台が広がるからだ。
SMBC日興証券の大内卓シニアアナリストは、かねて日立造船に着目してきた。
「環境ビジネスの領域で、将来的にグローバルに伸びる位置に居る。実は、他に日立造船のような会社はない」。
今後は、欧州で環境規制が厳しくなるので、衛生的かつ効率的に都市ゴミを燃やして排熱を利用する施設は伸びる。将来的には、中国や中東、インドにも拡大する。
引用:週刊ダイヤモンド
そうなんです。
ずっと主軸であった造船を完全に捨てて、新しいビジネスを開拓し、そしてとうとうたどり着いたのが“環境ビジネス”です。
上ののグラフにもあるように変革後のここ5年ほどは赤字知らずでかなり安定的な純利益を上げています。
現在、日本にはごみ焼却発電の施設が一般廃棄物で約300施設程あるようです。
しかし、よく考えてみればごみ焼却施設はもっともっとたくさんあります。
それに対し300施設はかなり少ない比率です。
その理由は
■なぜ、廃棄物発電はFiTから除外されたか
現時点でもっとも安価な非化石燃料発電は廃棄物発電である。
発電しなくても焼却炉は必要なため、イニシャルコストは熱交換器や発電機などの追加設備だけですむ。
燃料は無料であり、逆に処理費をもらえる場合もあり、ランニングコストがほとんどかからない。
再生可能エネルギー全量買取法(FiT法)が2011年8月26日に成立した。
それにもかかわらず廃棄物発電がFiTから除外された表向きの理由は、迷惑施設である焼却炉が乱立することを避けたいからということだが、環境省も経済産業省も廃棄物発電や廃棄物燃料化をサーマルリサイクル(熱源再利用)として推奨してきた。
引用:日経ビジネス
※固定価格全量買取制度(FiT、新エネルギーによる電力を電力会社が一定期間固定価格で全量を買取る制度)
ごみ焼却発電でどんなにたくさん発電しても電力が買い取られなければそりゃ、そんな設備が増えるわけがありません。
逆を返せば、この弊害さえ取り除けば日本にはかなり大きなポテンシャルがあるということでもあります。
そこで今後、日立造船が先頭に立ち、ごみ焼却発電で日本の電力不足解決の切り札になってくれることを期待しております。
また、造船業から環境ビジネスへと素晴らしい転換を成し遂げた日立造船は、今の苦しい日本企業復活のヒントのように思えます。
ありがとうございます。